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極寒の地ハルビン
毎年、1月5日より2月の終わりまで、中国東北部の黒龍江省・ハルビンにて、世界3大氷祭りの一つと称される「ハルビン氷祭り」が行われる。今回年末年始の休みを利用して開幕直前のハルビン氷祭りを取材してきた。
中国東北部は、世界でも有数の極寒地帯であり、ハルビンのある黒龍江省は中国でも最も北にある省で冬の気温は氷点下20度を下回ることも少なくない。全て冷え切った氷の世界であり、ここに人が住むこと自体が驚きであるほどの寒さとなる。この極寒の地ハルビンで冬の一大イベントとして行われるのがハルビン氷祭りである。
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| 極寒のハルビン駅 |
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駅前にも氷の塔の作品が並ぶ |
会場は3つ
一般的にはハルビン氷祭り・雪祭りと総称してこの時期の祭りを一括して呼んでいるが、実は祭りの会場は大きく分けて3つに分かれており、各会場は主催者が各々別で、更にその中身の特徴も各々異なる。
つまり、冬の祭りとしてこの同時期に行われているが、それぞれが独立した祭りとして運営されているのがハルビン氷祭りの実態のようである。
その中で今回まず訪れたのが太陽島で行われている雪祭りである。
太陽島は市の中心部から見て北部に位置する、松花江をはさんだ対岸の中州的な存在の島である。夏季は雄大な都市公園であるが、冬はここが一変して雪祭りの会場となる。
こちらは札幌の雪祭りのような雪像を中心とした祭りで、正式名称は「中国哈爾濱国際雪彫芸術博覧会」となっている。略称は雪博会（xue3bo2hui4）である。
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| 友誼路のバス乗り場 |
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なんとバス内は空調なしで窓が凍りついている！ |
歩いて渡れる川
市内からは、市街地の友誼路から会場までの29番バスが出ているほか、対岸から松江花を渡るロープウェー（片道30元）で行くことも出来る。タクシーだと25元ほどか？
元気のある人は、天気の良い日ならばこの時期凍結している松花江を歩いて太陽島まで渡ることもできる。幅は200～300ｍの距離で、雪道なので20～30分の時間を要するが、川を歩いていけるのはこの時期だけの醍醐味なので、挑戦してみるのも面白い。
またそり馬車など(30元と言っていた)もあり、シャリンシャリンという鈴の音を聞き北国気分を味わいつつ川を渡るのもまた乙である。
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| ここは草原ではなく凍った川の上の道 |
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風情のある観光馬車 |
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| ロープウェイ乗り場 |
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ロープウェイのゴンドラ |
高い入場料
太陽島公園の会場に入るにはまず公園の入場料を支払うのだがこれがなんと1人150元！観光施設の入場料としてはかなり高い。この値段設定では、街の人が日々の憩いの場としてリピートして訪れることはできないであろう。
つまりこの雪祭りは単なる街の人のお遊びではなく、貴重な観光資源として街の収入源となっているということがこの値段設定から分かる。よって訪れているのは基本的に観光客ばかりで地元の人が気軽に訪れているといったような様子はないようだ。
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| 切符売り場（寒いので窓を閉めている） |
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太陽島公園のノボリ |
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| ドラゴンが観光客を迎える |
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人の何倍もある巨大な塔 |
全部で7つのゾーン
太陽島公園の会場は入場ゲートも含めて７つのゾーンに分かれており、各ゾーンそれぞれにテーマが定められ、それぞれのテーマに沿った雪像が作られている。今回訪れたのが、まだ正式な開幕の前の時期であったため、製作中の雪像も多かったが、逆に言うと製作過程も楽しむことが出来た。四角い雪の塊を積み上げ、そこから設計図に従って雪を削りだしていく。メインの会場のものはクレーンを使って数十人かかりで雪像を彫っている。
まさにビルの工事現場さながらである。
芸術ゾーンは、雪像コンクールをやっていて、美術学校の生徒などが沢山出品しているようだった。中には何を表現しているのか分からないような？物があったが、時にコミカルで見ているだけでも楽しくさせてくれる作品が沢山ある。
会場の中には過去の優秀作品として、雪像に模した形で過去の作品が永久保存版としてコンクリ保存されているものあった。
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| 永久化された過去の優秀作品 |
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彫られた雪の壁 |
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| 火星人？ |
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近代化？がテーマだそうだとか |
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| 仏像を見ているかのような見事な作品 |
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うおっ？ |
他のゾーンは主催者などが準備している像であるが、一番大きな雪像は高さ１０Ｍ以上もあり、まるで本物のお城のようである。雪像の表面はきれいに処理されていて発砲スチロールのようにつるつるしているが、触ってみるとやはり本物の雪である。
また太陽島公園の会場内では写真のような売店をあちこちに見かける。雪地靴や防寒帽など防寒グッズが売られている。公園内に来てから防寒対策が甘かったなと感じた人はここで買い足してもよい。但し値段は観光地価格なので割高である。もちろん値切ることもできるがまさに足元を見られて高い買い物をさせられやすい。なるべく市内で揃えてから訪れることを心がけよう。
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| 防寒グッズの売店 |
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観光用の犬ぞりたち（1回30元だとか） |
ほっとする熱飲屋
さて、太陽島公園の会場はかなり広いので歩いているだけでも、氷点下20度の寒さが容赦なく襲ってくる。防寒着で完全防備をしていても、長時間の見学は体温を奪い体力を奪うので、やはり時々休憩が必要だ。
そんな時ほっとするのが「熱飲屋」と書かれている喫茶店？のようなお店だ。会場内各所に数店舗ある。ただこれらのお店は空間そのものが、暖房のある空間という貴重価値のため、入って温まるだけの行動は許されず必ず飲み物などを注文しなければならない。何の変哲もないホットミルク紅茶などが20元と非常に高いが、値段の半分以上は暖房代と考えるべきであろう。
しかし、これらは冷え切った体にエネルギーを取り戻すにはうってつけで、飲むと元気が出るのも確かだ。-20度の世界は想像以上に体力を奪うので、見学中にちょっと疲れたなと感じたら無理をせず一杯いただこう。店を出た後の足取りが非常に軽くなる。
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| まるで雪のログハウス |
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室内の暖かさに思わずレンズも曇る |
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| これで20元！高いか安いか？ |
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こんなガラス張りの熱飲屋もあります。 |
このように適度に休憩しつつ、じっくり太陽島公園内を一通り見て回ると３～４時間かかるだろうか？訪問スケジュールにもよるが1日にハルビン氷祭りの複数の会場を見るつもりなら時計を見つつ計画的にまわろう。
夜間にはライトアップやイルミネーションも準備されているが、日中だけでも十分楽しめる。
イルミネーションの木は、自然の木ではなく、人口の支柱に枝を装飾したものであった。観光対策に熱心な公園である。時々音楽隊のパレードのようなものまで行われている。
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| ぬいぐるみたちのパレード |
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人工のイルミネーション樹木 |
日本の橋があった！
なお雪祭りとは直接関係はないが、この太陽島公園の中に日本式庭園のハルビン新潟友誼園がある。ハルビンと日本の新潟市には友好都市協定が結ばれており、その締結10周年を記念して1989年9月に開園している。園内には記念碑や記念館なども建てられ、建物の内部には日本の伝統的な茶室などが置かれ、和服などの展示がある。また庭園は日本式庭園となっており、中には新潟市内の信濃川にかかる万代橋を模した、「ミニ万代橋」などもある。新潟友誼園は雪祭りの会場エリアからは外れた場所にあるが、同じ公園内なので興味がある人は訪れてはいかがだろうか？
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| 情緒あふれるミニ万代橋 |
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ちゃんと平仮名で「ばんだいばし」と |
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| 記念館の入り口 |
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雪の中に立つ友好記念碑 |
＞＞次回は兆麟公園の取材報告をお伝えします。
【データ】太陽島公園（ 地図）
入場料：大人150元 子供75元
住所：黒龍江省哈爾濱（ハルビン）市松北区太陽島風景区
交通：ハルビン駅からタクシーで20分ほど
友誼宮からバスで20分ほど
松花江ロープウェー片道30元 往復50元
電話：0451-8819-2966
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（2010年1月記）
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