TOP連載新・KONOKの中国雑知/「ミラージュ」

     

「ミラージュ」


 
  新疆ウイグル料理というとシシカバブーやポロ飯などを想像するが、ウルムチにはいまやウイグル人も知らない高級伝統料理「ミラージュ(米拉吉)」がある。「ミラージュ(mirage)」はフランス語で神秘やロマンチックを表すが、その名のとおり店内は伝統の調度品や凹凸レンガで一定の方向や模様を描きながら制作されたデザインが壁・天井全体を覆い、重厚感のある特殊な空間であることを教えてくれる。料理もこれまでに味わってきた家庭料理とは一味も違う。「ラグメン」とう新疆のうどんも原材料からのこだわりようで、まず小麦粉を購入したあと瓶の中で一定期間寝かせたあとに選別し使用するという徹底振りでほぼすべてがここでしか味わえない料理なのだ。

「子供のころにみた記憶を現代に残すのが、私の夢であり、仕事です」と話すオーナーはアスクという新疆でも貧しい地方の出身者で「かつて家にはなんでもあった、ただ家の周りには何もなかった」というとおり地域的にはこれといった特産品もなく砂漠に囲まれたさびしい都市で、男性も女性も成人するとアスクを出て出稼ぎをしてアスクに送金をするという習慣が今でも残っている。そんな性格上、アスクは商売人の街として有名になるが、民族宗教的にはアスクの出身者であるというだけであまり好感はもたれていない。オーナー一家は文革の中で家財の一切を没収され、彼も同様十代からアスクを離れ、貿易や商売で成功を収めこの店をオープンさせている。「この店を広げることにより民族に貢献したい」というオーナーの瞳の奥に荒涼とした石砂漠そしてウイグル栄光時代が見え隠れしていた。



【infomation】

「米拉吉」

鳥魯木斉勝利路2巷6号【地図

0991-2860100 10時〜22時 ※酒・タバコは宗教上の都合で不可

                                                                                                                      (2005年7月26日現在)
 


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