TOP連載新・KONOKの中国雑知/「楼蘭の美女」

     

「楼蘭の美女」


 身長157cm、死亡した推定年齢は45歳。南ロシアから南下してきた白人系人種と考えられているが、4000年も前にはたいした文字資料もなく何の目的でここに来てなぜ埋葬されたのかなど経緯がほとんど明らかになっていない。ただ今から25年前にタクラマカン砂漠の東、楼蘭鉄板河遺跡で発掘され、92年に日本に一大シルクロードブームを起こした。発掘後に上海での防腐剤処理をしたため肌が一気に黒ずんでしまったが以前はその美しさに皆が驚愕した。現在でも肌の色を除けば髪の毛の毛穴まではっきり識別できる。ウールの着物をまとい鹿の皮で作った靴を履き帽子には鳥の羽が挟んであり、副葬品のウールのポシェットには木の櫛が入っている。現代の女性とかわりがない。当時どんな思いでなんのために天山山脈を越え、長い道のりに耐え楼蘭までたどりついたのか。当時の楼蘭は彼女にとってどんなところだったのか。もちろんそんなことは知る由もないが、彼女を見ていると何か答えてくれそうな気さえしてくる。



 実は新疆ウイグル自治区博物館、これ以外にもたくさんのミイラが保存されている。時代的には1000年も違えば状態もかなり違う。3000年も4000年も現代からみればそう大差はない。たくさんにミイラに囲まれて撮影のため2時間もいるとおかしな気分になってくる。魂と肉体の分離。魂は天に昇りまたその肉体に戻る。そんなばかげたことはあるわけがないが、彼らの肉体はそれを待ち望んでいるかのようだった。


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