TOP連載新・KONOKの中国雑知

     

「さまよえる川」


 

 「さまよえる湖」といえばタクラマカン砂漠にある「ロプノール湖」が有名だが、その湖に注ぐ川に「タリム川」といのがある。水量の増減により南北100km以上も移動する砂漠の川である。厳冬のこの時期は凍結しており、砂漠に暮らす民の子供たちのいい遊び場になっている。もちろん彼らの生活もこの川頼りで、貴重な水を分け合う習慣がある。例えば手を洗うのも人が使った水を下に手を出しバトンのようにみなで使い、凍った川水を煮沸してお茶として利用している。塩分が多いせいか、少し塩辛い、そこに氷砂糖を加え好みの甘さでいただく。相当おかしなお茶かと思いきや不思議と喉は渇かない。

この写真を撮ったあと、川淵から本道にもどる途中で砂により車がスタックしてしまう。運よく一台はうまく抜けたがもう一台はその後脱出に1時間も掛かり取材計画が大きく狂ってしまった。本線を数十メートル離れただけで砂漠の洗礼を受けた。「一度入ったら二度とは出てこられない」という名前の砂漠タクラマカン。かつてスウェーデンの探検家のヘディンも途中で水が尽きキャラバン隊が崩壊してしまう。目印となるものなく、足元が解けていくような広大な砂漠をさまよったとき彼は何を見たのだろう。乾燥した砂漠での車の脱出塩辛く甘いお茶の味が舌に残るとともに砂漠の恐怖を体験した瞬間だった。

 

 


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