TOP連載新・KONOKの中国雑知/「キジル千仏洞」

     

「キジル千仏洞」


 

 

この言葉でピンときた人は、それなりにシルクロードや中国の仏教遺跡などに興味を持っている人ではないだろうか。中国に長くいるがここに行くまでそこがどんな重要な意味をもつか知らなかった。

キジル千仏洞は紀元前4〜6世紀にクチャ周辺に栄えた南シルクロードの仏教国の亀茲国(キジコク)の仏教遺跡で氷河によって削られた砂岩の壁に278の石窟がある。石窟では敦煌が有名だがそれよりも100年も早い3世紀から9世紀までつくられそれぞれ異なる仏教画や風俗画が描かれている。キジル千仏洞は外来芸術の影響を受け、中国と西洋の文化交流による特色が顕著にみられる。例えば、登場人物は頭にはペルシァ風のフェルト帽をかぶった色白の顔の掘りが深く丸えりの服を身につけたペルシァ商人が生き生きと描かれ、日本人に知られているところでは、遥か日本までわたった正倉院の五弦の琵琶図が今にも画から踊りそうなリアリティで描かれている。

そして何より仏教の本来の「本生(釈迦の前世にまつわる寓話と故事)」など経変の本生故事が70枚以上も描かれており、かつて手塚治のマンガ「ブッタ」で読んだ寓話が時代を超えて心によみがえるシルクロードいちの名所のひとつだ。


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