夜の11時を回ったところだろうか、列車は途中の駅に10分間ほど停車する。夕食に飲んだ白酒が効いているのと私たちのコンパーチブル大変温かく居心地がいいためかここが砂漠の真中の駅だとはとうてい想像できない。ただ窓の外を覗くと暗闇に動く人影がどれもみな黒く重そうなコートを引きずるように着ている。「真夜中の砂漠の駅」という二度と経験することもないだろうシチュエーションにダウンコートとマフラーを着て外に出る。
ホームは人もまばらで物売りに数人が群がっている程度、遠くを見るもどこからどこまでがホームなのか、駅の周りには何があるのかもまったく分からない。進行方向をまっすぐに向いた列車の食堂車から蒸気が上がっており、異常な躍動感を漂わせている。
子供のころの「銀河鉄道999」という漫画があったがもし実写化するとすればきっとこんな世界なのだろう。 |