TOP連載新・KONOKの中国雑知/「あんずとスプーン」

     

「あんずとスプーン」



 

 ここカシュガルには職人街と呼ばれる通りがある。その名の通り職人たちが腕を振るった手作りの銅製ナベやナイフ、靴、帽子など生活用品からとりたて羊の皮屋まで軒を連ねているエリアだがそこで面白いものを見つけた。

写真の道端に正座をしているおじいちゃんが現役のスプーン職人だ。現在86歳、馬車とバスに揺られ片道2時間かけここカシュガルの職人街で3元/本のスプーンを売る。「最近は天気がいいときにしか来れないよ」私たちに囲まれ恥かしげにあごひげを触っている。「どんな風に作るんですか?」と聞くと彼は使い込んだペンサイズのナイフを取り出すと投げ出されたスプーンの一本を拾い上げ「こんな具合に作るさ」と実演を始めた。しわくちゃの手がすばやく凸凹なスプーンの表面を口当たりのよさそうなスプーンに仕上げる。「ふっ!」と息を吹きかけ削りかすをはらうと滑らかなスプーンの出来上がりだ。

このスプーンはウイグル族が昔から使っているコショックとよばれるスプーンで主にスープを飲むのに使われる。乾燥しても割れない木を材料に作られ、実に軽く、丈夫で滑らかそして何よりもそれぞれに色合いや大きさが違い何ともいえない素朴な風合いがある。

昔、小学校のころよくナイフで鉛筆を削らされ何の役にも立たないと思いっていたが、鉛筆の延長には実はこんな世界があったのだ。

 

 エクスプロア中国トラベルでは「シルクロード浪漫の旅」を取り扱っております。


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