TOP連載新・KONOKの中国雑知/「ものいわね煙突」

     

「ものいわね煙突」



 この旅行を通じて圧倒的な存在感を有していた建造物がある。

 干しあがった石砂漠にぽつりと建っている仏塔、モーアール仏塔だ。

 モーアールとは煙突の意味で、現在、中国最西に位置する仏教遺跡である。日干しレンガを積み上げた円錐形の仏塔は、かつては空洞でなかには仏像が安置されていた。激しい風化により当時の様子は分からないが、荒れた平坦な砂漠の一段と高い位置する仏塔からは周りを一望することができる。ガイドの話では、当時の様子について記載をしているものが少なくいったいどんな意味でこの仏塔が作られたのかあまりわかっていない謎の仏塔ということである。

 戦争や内戦のなかで、街は破壊され人は街を追われ、この地を去った。仏教がこの地で全盛を迎えたころのこの地の賑わいとはいかがなものだっただろう。仏塔を中心に街が形成され、砂漠を行く旅人はこの煙突を目指し、旅をしたに違いない。いまこの仏塔からはその街の全様はおろか壁の跡さえみることはできない。ここは仏塔のみが自然と時間の浸食に耐えながら歴史を語る。

 


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