TOP連載新・KONOKの中国雑知/本日のポロ飯

     

「本日のポロ飯」



もちろんだがここウイグルでは食文化が漢族のものとは大きく異なる。飛行機の機内食からレストランに至るまで食文化も違えばテーブルも違う。しばらく中華料理を食べていないと中華料理店に足を踏み入れた瞬間にラード(豚脂)の香りが全身を包む。鼻にも体にもまとわりつく匂いだ。確かに豚肉を食べたことのない人には何事にも変えられない苦痛かもしれない。とはいってもウイグル人の中には、隠れて豚肉を食べるようだ。

豚肉を口にしないウイグル人の主食はナンとよばれる小麦粉で練ったパンやラグ面といわれる羊肉と野菜のあんかけ麺。そしてポロ飯とよばれているにんじんピラフだ。特にラグ麺とポロ飯はどんな田舎でも食べることができ、その地域に独特の作り方がありどれもみんな美味しい。この旅の中で何度となくというより、毎日お世話になるのがポロとラグ麺で、特に辺境になると公道の小さな食堂が唯一のレストランというような日があり、スタッフからは「本日の・・・」といわれるくらい日常的なものになった。ポロ飯だがウイグルにんじんと(ときにピーマンが入ることもある)を羊の油で炊き上げるピラフで、炊き立て湯気の中から黄金色に光るピラフは見た目にも美しい。その上に塩茹でした男性のこぶしくらいの大きさの羊肉塊を大胆にのせる。最初は肉のボリュームに驚くが食べ始めると女性でも大皿一杯のポロ飯と塩茹で羊肉をぺろりと平らげてしまう。腹持ちがいいのと何より体が温かい。にんじんは体温を上昇させる効用があり、羊の油は体温をいつまでも温かく持続させる効用がある。氷点下20℃、極寒の取材を影から支えたのは間違えなく「本日のポロ飯」だ。

 

 


掲示板】【前回へ】【次回へ】【バックナンバー



エクスプロアグローブTOP] [連載TOP] [エクスプロア中国トラベル ホテル&航空券]

Copyright(C) since 1998 Shanghai Explorer