中国の成長の象徴ともされる上海だが、経済活動の活発化に伴って世界各国からの人の出入りも激しくなっている。
とりわけ周辺のアジア諸国との交流はますます活発化しており、人の面でも文化の面でも大きな影響を受けているのが今の上海である。
もちろん「食」もその例外ではない。上海市内には近隣の日本・韓国はもちろんのこと、欧州や印度など世界各国の料理のレストランが次々にオープンし人種の坩堝ならぬ食のるつぼをを形成しつつある。しかもそれぞれの料理は、決して本場に負けないレベルのものが上海でも食べられるようになっている。
またこれらの各国の「食」が狭い上海でひしめき合ううちに、次第に互いの領域を超えて融合を試み始めている。
その象徴とも言えるお店が今回ご紹介するこの"Le voyage"である。
店の名前の「Le voyage(=旅、航海)]が示すとおり、アジア各地から特徴ある料理を取り上げ融合させた料理を提供している。
ここのお店のシェフは実はアジア料理のプロフェッショナルではなく、イタリアとフランスで料理を学んできたという。
彼によると、アジアの料理は確かに美味しいのだが、「彩り」にかけると感じていたのだそうだ。
そこで彼の学んできた欧州風のアレンジを従来のアジア料理に加えることを試み、作り上げたのが今のお店のメニューとのこと。
試食をしてみるとトムヤムクン風のスープは、韓国のビビンパムに使われるような器に盛られ、真っ赤なスープの色が印象的だ。
口の中に含むと程よい酸味が広がり、後からじわっと辛味がやってくる。ただし強烈な刺激的な辛さではなく非常に柔らかい辛さであ。
まるで器と同じく韓国のコチジャンを使っているのではないかと思わせるような深みのあるスープだ。まさにアジアのクロスを感じる。
またグリーンカレーも辛さを抑え、ココナッツミルクの甘ったるさが程よく残っており飽きが来ない。
そのほかにも東南アジア独特の料理がメニューに並び、上海の欧米人にも受け入れられやすいアレンジが施されている。
使う食材も鮮度にこだわっており、特に野菜などは有機野菜を選んで使っているので、食材の価格としては肉より高いくらいだという。
店内の内装はベトナムかどこかの海岸の小洒落たレストランのようで、ガラスルーフからは昼は太陽の光りが降り注ぎ、夜は月明かりを臨むことができる。
壁の色やテーブルや椅子の調度品に至るまで、バランスよく配置され、それがこのお店の居心地をよくしてくれる。
気取ることのない雰囲気が一日中本を読んで過ごせる喫茶店のような印象さえ受ける。友人と語らっているとつい時間を忘れて長居してしまう。
まさにアジアをLe voyage(=旅)する人々が心を休める場所がこのお店なのかもしれない。
舌でクロスするアジアを感じながら、心で旅をするレストランが、ここ上海に生まれている。
Le voyage
住所:上海市徐匯区永嘉路335号【地図】
電話:+86-21-5466-6335
FAX :+86-21-6466-9982 |
|