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上海鉄路博物館   

 

 2004年8月28日にOPENした鉄道をテーマにした博物館だ。ただ、しばらくの間は主に団体向けに公開され、一般向けに公開されていなかったので、あまり人に知られていない。現在は週に3回見学日が設けられている。(2005年2月現在)

 華東地区の鉄道の発展史を見るうえでは、貴重な資料も少なくない。

 

                                           

 

 まず、門をくぐると、左手に蒸気機関車が静態保存されている。

 

 上海近郊でもつい最近まで蒸気機関車は活躍していた。2002年でも杭州=寧波間で入れ替え用や貨物用として蒸気機関車が走っていたのが目撃されていた。

 この蒸気機関車はKD7−641型の蒸気機関車で、同形式の蒸気機関車では、中国国内で最後の1台になる。1946年米国製。第2次世界大戦までは、アメリカの同盟国支援のために製作された蒸気機関車だが、戦後は国連の中国への救援物資の一環として贈られたものだ。160両が製造された。80年代まで、本線で活躍していたが、現在は中国全国でも4両が残るのみになった。上海歴史博物館、北京中国鉄道博物館、山西大同鉄道博物館、そして上海鉄路博物館に保存されている。

 

 そして、世界的にも珍しい600ミリ軌間の蒸気機関車も屋外展示場に展示されている。もともと雲南鳥個鉄道を走っていたこの蒸気機関車は200012月に上海に運ばれてきた。重さは24.95トン。まるで模型電車みたいに幅の狭い線路だが、車両は一人前にしっかりとしている。最高速度は時速45キロで、140トンの貨物を引っ張ることができた。600ミリ軌間でこのように完全な形で残っている蒸気機関車は中国でも3両しかなく、おそらく世界的にも貴重な車両といえよう。

 

さらに、緑色の客車が展示されている。こちらは、中身の様子は分からないが、民国時代に政府要員が使用した豪華版の貸切車両となっている。1930年代にアメリカで特別に製造された車両で、車内には浴室・オフィス・会議室などが設置されていた。

 ところで、この上海鉄道博物館がある一帯は、「老北站」と言われる上海北駅があった地域だ。実は、この博物館の建物そのものが、1:0.8の比率でその当時の面影を残して再現されている。この駅は、1908年に開通した上海=南京を結ぶ滬寧鉄路局の上海側の基点であった。1909年に英国人の設計により完成した。その当時は、非常に美しい建築物として名声が高かった。しかし1932年のいわゆる「一二八事変」が勃発したころ、この駅は格好の目標となり、破壊された。その後、旧日本軍が一時駅を改修して「上海駅」と名づけられたが、戦後再び整備され「上海北站」として復活した。

 

 

 上海は中国で鉄道が始めて走った地区でもある。1876年イギリス商人の手によって呉淞鉄道が開通する。その当時、蒸気機関車のことは「火車」と呼ばず「火輪車」と呼ばれていた。蒸気機関車はイギリスからの輸入品で、その模型が展示されている。上海市街地の起点は「上海站」ではなく、「上海火輪房」と呼ばれていた。

 その後、1898年には呉淞鉄道の基礎の上に淞滬鉄道が開通する。全長16キロほどだが、こらが後の1997年に開通した明珠線(軌道鉄道3号線)のルートになる。1996年当時、踏切などはまだ使われていて、列車も地上を走っていた。列車が通るたびに、上海体育館あたりでは大渋滞になったことを記憶している。その後、撤去されて上に現在の軌道鉄道3号線となる高架鉄道が走るようになった。

 このように100年にわたる華東地区の鉄道の歴史が、資料を交えながら見ていくことができる。1000点あまりの実物の資料、図などがあり上海の鉄道の歴史を知る上で大変興味深い。もちろん、旧日本軍による駅の空爆などの様子を見せるビデオなどもあった。

 

 館内には、さまざまな体験する設備が設置されているが、チャンスがあればシュミレーターで中国の鉄道を運転してみよう。日本でかつて流行した「電車でGO」と違って、こちらは客車でかつディーゼル機関車の編成。したがって、エンジンの回転数などを確認しながら運転しないといけないので、運転はすこし複雑。元運転手というおじさんが隣に座って色々と指導してくれる。

 

 鉄道といえば、単に移動の道具としてしか見られていないことが多い中国で、こうやって文化財として残しておこうとする試みは特筆すべきことだ。

 しかし、PR不足か、冬休み期間中というのにご覧の通り、観覧者が極めて少ないことが気にかかる。

 

 


上海鉄路博物館 関連情報

住所:天目東路200号 (地下鉄3号線宝山路下車、南へ徒歩10分ほど) 

開館日:火曜日・木曜日・金曜日

開館時間:9301130

     14001600

入場料:一般10元、小中学生5元 


【筆者紹介】山之内 淳
1974年大阪市生まれ。1996年より上海在住。上海エクスプローラでは創設時よりライターとして参加。中国伝統医学の研究を続けつつ、日本の伝統医学の専門誌などにも多数執筆をしている。山と渓谷社の『上海便利手帳』でも上海関係の記事を担当。現在、中国伝統医学の普及のためのHP「中医ドットコム」の管理・運営も行っている。



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