| TOP/FEATURE/SARS〜冬を迎えるにあたって |
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2003年春に世界を騒がせたSARS(新型肺炎・重症急性呼吸器症候群)について、人類は新たな爆弾を抱えてしまったといっていいのかもしれない。それはなにも中国などに限った問題でなく、いつ我々の身近で発生してもおかしくない状況なのである。 中国政府は冬季の再発防止のためにさまざま対策を行っている。未だ確立された治療法がないため、人々から恐れられているが、きちんと対策さえとれれば、全く防ぎようがないわけではない。逆に中国では過去の苦い経験があるために、我々としては参考にしなければならないことも少なくない。 上海に関しては、幸い大規模な流行は未然に防がれた。全国的な流行が危惧われていた当時、市政府の対策は比較的徹底しており、大きなパニックにはならなかった。 中国政府の取り組み SARSが収まった後でも浦東国際空港では引き続きサーモグラフィーを用いた体温測定を継続している。2003年10月11日には中国政府の国家質検総局は、中国各地の検疫所で出入国者を対象に健康申告のカードの記入、体温測定などを徹底し、38℃以上の体温がある者に関しては、すぐに病院に送るようにとの通達をだしている。また一部SARSが大規模に流行した地域を中心に老人や子供のインフルエンザ予防接種を行うように呼びかけている。全国的な状況を瞬時に把握するために、SARSの患者数、疑いありの患者数が0でも「0人」として毎日発表するとし、発表漏れがないように徹底している。 SARS収束後でも、衛生部局の指導により、中国人の場合は38℃以上の発熱がある患者は病院を訪れた際、まず発熱外来で検査を受けなくてはならない。発熱外来は基本的に大きな病院ならすべて設置されている。ここで症状などからSARSの疑いがないと分かれば、普通の内科外来へまわされることになる。以前は、衛生局の指導により日系や欧米系のクリニックでは原則38℃以上の発熱患者を診察しないことになっていたが、今はそれほど厳格ではない。ただ、今後も状況の変化が考えられるので、情報には注意したい。 いかに予防するか? 有効なワクチンの開発が終わるまで、基本的な対策で予防するしかない。飛沫感染が指摘されているため、まずは手洗い・うがいの励行が大切だ。薬用石鹸は市内の薬局でも手に入る。とくに公共の交通機関などを利用したときなど、特に手すりにつかまったりしたときはしっかりと手を洗いたい。また部屋の換気には十分に気をつけよう。冬場はエアコンを多用するために、どうしても空気がこもりがちだ。 当然、免疫力を高めるために、睡眠と規則正しい生活、バランスのとれた食事、適度の運動などは大切。これらの予防策を呼びかけるポスターは今でも街角で見かけることがある。WHOなどでも中国医学の生薬のSARSに対する有効性が指摘されているが、SARSが流行している時期には、免疫力を高めるための生薬を配布した学校や会社も少なくなかった。またタクシーの運転手やレストランや理髪店などサービス業に携わる人たちは、仕事中はマスクの着用を義務付けられた時期もあった。マスクをつけるということは、咳嗽などをしたときに飛沫を飛ばさないという意味でも重要であるとされた。その結果上海でもマスクや消毒液、体温計が店頭から消えてしまった時期もあった。 その他、流行時期にはさまざまな対策がとられた。参考にいくつか紹介しておこう。学校や会社など集団で人が集まる場合では、毎日検温が義務付けられ、体温を記録した。また大学などの寮はもちろん、バス、地下鉄、タクシーなどの公共機関でも毎日消毒を行っていたほか、学校などでは外部からの部外者の入場を厳しく制限した。特に上海から流行地域に出て行って帰ってきた場合などは会社などでは2週間の自宅待機、もしくは学校などでは専門の観察室で2週間の観察が行われ、その後キャンパスに入ることが許された。このように全体的にかなり徹底した対策がとられた。 インフルエンザのワクチン 卵アレルギーがある人など、今までインフルエンザワクチンを接種して副作用があった人以外は、10月頃にインフルエンザの予防接種を済ませておくことが望ましい。予防接種を行うことにより、万一インフルエンザにかかっても症状や経過を短くすることが可能で、38℃以上の熱にもなりにくい。 情報の収集 2003年春にSARSが流行したときには、巷にさまざまなデマが流れ、多くの市民が不安に慄いた。そのため、日ごろから新聞やテレビ、ラジオなどから情報をとれるようにしておかなくてはならない。「エクスプロア中国」でも上海現地の状況変化などを即時伝えている。ここではホームページを紹介しておく。在上海日本国総領事館:http://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/ |