特集:上海新地下鉄
松江と上海市中心を結ぶ地下鉄9号線
上海地下鉄路線図

ラインカラーは空色
上海の発展の基礎を作った松江は、文化遺産も数多く残されていて、元代には松江府が置かれるなど、旧上海エリアの中心であった。そんな松江と上海市中心エリアが地下鉄9号線で結ばれるようになった。9号線はまたの名を「古道時速」と呼ばれ、現在の上海地下鉄の中では駅間が最も長く、速度が最も速い列車となっている。
とは言っても、初乗りをしてみると、実際はまだ試験運行中なのか、かなり速度は遅く感じられ、列車本数はすくないはずなのに、信号停車も少なくない。
●地下鉄1号線の中古車両を使用

車内はかなり寒かった
車両の調達が間に合わなかったのか、今回の上海地下鉄9号線の開通時に使用された列車は、1号線にかつて走っていたカナダのボンバルディア製のもの。6両編成10本が投入された。さらに6編成が現在製造中とのことで、2007年4月以降に順次投入される。しかし、この車両がかなりくせ者ので、エアコンは冷房のみ。松江のように高架線をひたすら走る場合は、車内に寒風が流れ込み、かなり寒く感じられる。車内を観察していても、帽子に手袋と完全武装して乗っている市民も少なくなかった。
●長い駅間、高架線も

一戸建て高級住宅が広がる
現在、桂林路から松江新城まで地下鉄9号線で乗り通すと、所要時間は約46分。第1期の総延長距離は30.687キロで、13の駅が設置された。このうち、松江大学城~泗涇までの4駅は高架駅で、松江側の終点である松江新城と九亭から東側の区間では、地下を走っている。全駅にホームドアが設置されていて、安全に対する認識は高まった。トンネルには上海の地下鉄では初めて温度を感知する光ファイバーケーブルが設置され、トンネル火災をいち早くできるようになったという。
9号線の駅間の平均距離は2.54キロ。このうち、最長区間は泗涇~九亭間の6.247キロ。全区間の平均速度は時速38キロとなっており、都市部の地下鉄の時速20キロ前後と比較するとかなり速いことがわかる。ちなみに、9号線でもっとも駅間が短いのが中春駅~七宝駅で1.306キロだそうだ。
●観光地も少なくない9号線沿線

車窓から見える佘山(シャーシャン)
上海地下鉄9号線の現在の終点となっている松江新城は、松江区のなかでも郊外に位置する。そのため、松江区の繁華街に出るには16番か14番のバスを乗って行かなくてはならない。しかし、松江区中心部は上海市の中でも歴史の香りがするエリアで、ぜひ散策してみたい。

佘山(シャーシャン)ゴルフクラブ付近
そのほか、一戸建ての高級住宅地が並び、ゴルフ場でおなじみの佘山にも駅ができた。ただし、駅から佘山は見えているものの、実際に佘山にある教会まで歩いて行くには結構な距離がある。上海地下鉄9号線の佘山駅は、ちょうど佘山(シャーシャン)ゴルフクラブの向かい側に位置して、車窓からもゴルフコースが望める。
上海の中心部からもっとも近い江南の水郷として有名な閔行区の七宝古鎮も、上海地下鉄9号線の七宝駅からアクセスできるようになった。駅は、ちょうど七宝にある楽購ショッピングモールの南の外れに位置する。
●やっかいなシャトルバスによる乗り換え

上海地下鉄3号線宜山路駅のシャトルバス乗り場

上海地下鉄9号線桂林路駅のシャトルバス乗り場
桂林路の駅は、徐匯区の有名な住宅地、田林新村エリアに位置し、ちょうど宜山路と桂林路の角あたりにある。ここから東側はまだ工事中のため、上海地下鉄3号線の宜山路駅までは、無料のシャトルバスが運転されている。
このバスがかなりやっかいだ。まず、上海地下鉄3号線の宜山路駅では改札口を出ないでシャトルバス乗り場へ行く連絡通路が設置されている。しかし、なぜか上海地下鉄4号線宜山路駅からのシャトルバス乗り換えができない。すなわち4号線から9号線に乗り換える場合は、虹橋路で3号線に乗り換えて地下鉄3号線の宜山路駅戻ってくるか、上海地下鉄4号線宜山路駅でいったん改札口を出て、再び地下鉄3号線の改札口から入って、地下鉄3号線シャトルバス専用の連絡通路を目指して歩かなくてはならない。
一方で、桂林路駅では、案内標識に沿って改札口を出ないでシャトルバス乗り場を目指せばよいわけだが、今度は利用者が殺到してバス乗り場がかなり混雑する。将棋倒しになりかねないぐらい押すな押すなの大混雑が発生することがあるので、スリなどには十分に気をつけたい。
なお、計画では宜山路駅での乗り換えが実現するのは2008年末頃と予定されている。
●上海発、パークアンドライド方式の漕河涇開発区駅
マイカーの急増で、上海市内の道路はすでに飽和状態になりつつあるが、ここではマイカーやバスなどと地下鉄を乗り換えて利用できるように設計されている。駅では200台分の駐車場が設置されるほか、731路・927路・131路などのバス路線と地下鉄駅が直結していて、バス利用の利便性が高まった。そのほか、大学が集まっている松江大学城の各キャンパスに向けても、松江大学城駅からバスが発車している。
上海の場合、バス+地下鉄という日本では当たり前の乗り換え方式がほとんど実現されておらず、地下鉄を降りてもバス停探しに苦労することが非常に多い。そういった意味では、地下鉄駅前にバス停が整備されていく日も近いだろう。
●まだまだ伸びる地下鉄9号線

松江新城駅 駅の上には店舗が入るらしい 駅は地下構造

松江新城駅の壁画

桂林路駅は2面3線構造
9号線の未来は、上海の地下鉄の大動脈の一端を予想させる壮大なものとなっている。まず、松江側は現在松江新城で終点となっているが、さらに南に延長され、松江駅で鉄道と乗り換えが可能になる。そして、計画では金山区の楓涇まで行ってしまう。また、現在は終点となっている桂林路から東へのルートは、2009年末には徐家匯を経由して浦東新区の楊高中路まで接続される。さらに、将来的には浦東の外高橋保税区から崇明島まで行ってしまう壮大な計画もある。そういった意味では、地下鉄9号線に大型のA型列車が導入され、広々としたホームや待避線付きのホームがあったりするのが理解できる。郊外と上海市中心部を結ぶ幹線として、今後の発展が期待される路線の一つだ。
【データ】
運転時間:松江新城発 6:00~21:00
桂林路駅発 6:00~21:00
桂林路~宜山路無料シャトルバス運行時間:桂林路発:7:00~21:55
宜山路発:5:40~20:30
運転間隔:平日:14分6秒~16分27秒 休日:16分27秒
シャトルバスの運転間隔:3分~6分(実際には定員いっぱいになるとすぐに発車しているようだ。)
上海地下鉄路線図