上海市、外国人も公的社会保険への加入が可能に
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現地採用の外国人にとっては朗報かもしれない。ただ、企業にとっては大幅な人件費アップにもなる。上海市がついに外国人にも公的社会保険が加入できる制度を開始させる。上海人とほぼ同じ待遇のもので、上海で生活する外国人にとっては朗報だ。
11月23日の上海の朝刊各紙が外国人の公的社会保険加入のニュースを一斉に報道していたが、実は通知自体はかなり前から出ていた。上海市人力資源和社会保障局が2009年10月10日に発表した「关于在沪工作的外籍人员,获得境外永久(长期)居留权人员和台湾澳门居民参加城镇职工社会保险若干问题的通知」が情報元となっていて、各メディアもここから記事をまとめているようだ。もちろん、上海人を雇用した場合と違って、外国人は必ずしも加入しなくてはならないというものではなく、雇用契約の条件によって加入も可能だ、という程度の表現になっている。なお、関連する通知が出されたものの、いつから実施されるかはまだ不透明で、上海市の社会保障局に問い合わせても、上層部門からの通達待ちという状態らしい。
1.外国人の上海の公的社会保険への加入資格
さて、上海市の公的社会保険に加入することができる条件に関して、まずは企業と雇用関係があり、さらに『外国人専家証』、『上海市居住証』、『外国人就業証』、『台港澳人員就業証』、『定住国外人員在滬就業核準証』を取得していることが前提となる。すわなち、上海で合法的に働いている外国人のほかにも海外で永住資格をもつ人、香港・台湾・澳門人などが含まれる。加入可能な社会保険は、上海版の年金にあたる上海市城鎮職工基本養老保険、基本医療保険、公傷保険の3種類だ。ちなみに、上海人の場合は、これにさらに失業保険(個人負担1%、会社負担2%)、生育保険(会社負担のみで0.5%)が加わるが、外国人には適用されない。
2.どの程度、公的医療保険が享受できるか?
さて、医療保険に加入できたとして、どれぐらいの自己負担となるのか?これについては、まだ具体的な計算式は公表されていない。ただ、上海人とほぼおなじ待遇であるとするならば、その仕組みは結構ややこしい。また、保険が適用できる病院も限られており、保険適用できる薬や治療も制限が多い。
たとえば、外来の場合、診察費(一般に10元~300元程度まで様々)に関しては100%自己負担。さらに薬代・検査代に関しては3段構えとなっている。すなわち、医療費のうち、一定金額までは毎年支給される医療保険カード内の積立金の中で支払い、これを使い切ったら規定の上限までは100%の自己負担(近年は年間1300元程度が上限)、さらにこの自己負担額を超えたら、一定割合の自己負担(働き盛りの世代なら50%自己負担が多い)という仕組みの可能性が高い。
ちなみに医療保険カード内の積立金とは、個人および会社が納めた医療保険の掛け金から計算され、掛け金が多ければ毎年の積立金が増えるが、掛け金が少なければ当然積立金も少ない。
外国人の場合、たとえば日本の国民健康保険は、海外での診察に関しても一部還付を受けることができるが、上海市の医療保険の場合は不可能。また、この医療保険から抜ける場合、上海市の各区や県の医療保険弁公室で過去の積立金などの精算を行い、現金で還付されることになる。ただ、この制度も毎年いろいろと変更が加えられており、試行錯誤の状態であることにはかわりない。
こう考えてみると、日本の国民健康保険制度はきわめてよくできた制度だと思えてしまう。中国の公的医療保険制度は、発展している上海ですらまだ十分ではないのが現状なのだ。
3.基本養老年金について
この制度は、男性が満60歳、女性が満55歳になったときに、中国や上海市が定める期間に年金の掛け金を納めていたら、年金の給付が受けられるというもの。上海の場合、一般に15年程度納めれば年金の給付を受けられる。なお、掛け金を納めていて、何らかの理由で仕事を途中でやめてしまっても、納められた保険の掛け金は全額返金される。詳しい通知は、「上海市人民政府关于调整本市城镇企业基本养老金计发办法的通知」を参考にしていただきたい。
また、公傷保険に関しては、外国人が就業中に患った職業病や負傷に関して、公傷(工傷)として認定されると労働能力の鑑定結果などを上海市の基準に基づいて支払われる保険のこと。
4.どの程度の掛け金となるか?
モデル例として、月8500元の基本給与をもらっているとすると、個人と会社の負担額は以下のようになる。当局に問い合わせたところ、掛け率は上海人も外国人も同じということだ。
●掛け率
| 掛け率 |
養老金(年金) |
医療保険 |
公傷保険 |
合計 |
| 個人負担 |
企業負担 |
個人負担 |
企業負担 |
企業負担 |
| |
8% |
22% |
2% |
12% |
0.50% |
45% |
| 合計 |
30% |
14% |
0.50% |
●8500元の月給とした場合
| 金額 |
養老金(年金) |
医療保険 |
公傷保険 |
合计 |
| 個人負担 |
会社負担 |
個人負担 |
企業負担 |
企業負担 |
| |
680.00 |
1,870.00 |
170.00 |
1,020.00 |
42.50 |
3,782.50 |
| 合計 |
2,550.00 |
1,190.00 |
42.50 |
こうみてみると、個人の負担だけでなく、会社の負担も明らかに大きくなっている。この制度が果たして外国人の間にも普及するか、まだまだ問題も大きい。今後の細則通知がでるのを待ちたいところだ。ちなみに、上海市の場合、地方の都市戸籍取得者に対しても、同様の保険制度の導入を進めている。地方出身者と上海出身者との違いが徐々に埋まりつつあるが、外国人にもやっと上海市の公的保険制度が適用できるというのは一定の進歩と評価したい。
(2009年11月記 山之内 淳)
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