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高考〜大学入試〜

 

  

  4月始まりの日本では、寒い1月〜3月にセンター試験や2次試験が行われる。雪が降る季節になると、センター試験を思い出してしまう筆者だが、9月始まりの中国では、この6月が大学入試の季節となる。以前は暑い盛りの77日前後に試験が行われていたが、ここ数年は1ヶ月繰り上がり、今年は67日・8日・9日・10日に試験が行われた。試験が行われる期間は地区によって異なっていて、上海の場合は67日から9日午前までの2日半。 広東省では10日まで行われた。日本では大学で大学入試を行うのが一般的だが、こちら中国では高校の校舎をつかって入試が行われる。今回は上海で行われた大学入試について覗いてみる。  

 

                                           

 

  教育部の発表によると、今年中国全体で受験した受験生の数は約800万人で、29.4万箇所の試験会場に81.7万人の試験監督を動員して行われた。まさにマンモス入試である。一方、募集定員は中国全土で475万人で、そのうち230万人が学部生にあたる本科生の募集となっている。

 上海地区ではあわせて11万人が157箇所の4669の試験会場で受験した。欠席者は1473人、カンニングなどで捕まった受験生も9人いたようだ。上海地区の大学の募集定員は86368人で、定員数の受験者数全体に占める割合は77.15%となっており、相変わらず募集定員は拡大傾向にある。

上海地区には特別に上海地区向けの試験問題と全国向けの試験問題の2種類の問題が用意されていて、上海戸籍を持つものは一般に上海地区向けの試験問題を使って受験する。中国全国で地区向けの試験問題と全国向けの試験問題が別々に用意されているのは上海だけという興味深い制度だ。11万人の受験生のうち、1900人が全国地区向けの試験問題を使って受験したほかは、ほとんどが上海地区向けの試験問題で受験している。また10名あまりの受験生は障害者向けの試験問題で関門に臨んだ。全国向けの試験問題は中国教育部入試センターが問題を提供している。受験生の話によれば、上海地区向けの試験問題は上海の高校の進度にあわせて問題が作られており、上海人にとっては有利なのだそうだ。一方で、上海戸籍を持ってない受験生は、全国向けの試験問題で臨むわけだが、上海の大学に入学する場合には上海人との間でも一定の難易度の差が生じてしまうシステムになっている。人口が多い中国ならではのシステムといえよう。さらに上海地区の問題に関しては、教科書改訂の関係で、物理・化学・生物・地理などの科目で2種類の試験問題が用意された。その他、少数民族などに対しても得点をプラスするなどの優遇処置が行われている。 

 

受験生を見送る父兄たち

 今年の大学入試でもさまざまなドラマが生まれた。受験前にお寺にお参りするのは、中国も日本も同じで、上海では豫園の近くにある孔子を祭った文廟や竜華寺、中には蘇州の寒山寺に出かけてお参りをしたという受験生もいる。中国でもいわゆる「馬絵」に願い事を書く習慣があり、受験がらみの願い事は多く見受けられる。四川省老君山の寺院では、試験前日の66日にも1000人あまりの受験生が最後の「神頼み」に参拝に訪れたという。 

 受験生を抱える家庭では、細心の注意が払われている様子がよくわかる。一人っ子の多い上海ではなおさらだ。街では工事現場の夜間の工事が政府の通達により禁止になるほか、新聞などには受験生が受験を無事乗り越えるための栄養満点の食事メニューが掲載されたり、スーパーの健康食品売り場では、子供に少しでも栄養のあるものを食べさせようとする親心から、健康食品を買いあさる父兄の姿もみられた。

談笑する受験生

一刻も惜しまず

 街全体も受験色が強くなる。試験会場までの足を確保するために、ナンバープレートに縁起が悪いといわれる「4」、「6」、「0」がないタクシーを受験生の送迎用に使うタクシー会社や、受験生用のシートを用意したバスも登場。また、勉強の妨げにならないようにマンションなどではクラクションを鳴らさないように呼びかける看板も見かけられた。

 試験監督者にも細かな配慮がなされている。監督者はハイヒールなど音がなる靴の着用禁止や、匂いのきつい香水の禁止、ガムの禁止などが行われ、受験生の集中力を妨げないように配慮されている。また公安も動員され、試験会場周辺でクラクションを鳴らさないようにパトロールにもあたった。

 

 

 

「静!」

「クラクション禁止」

 カンニングに関しては、科学技術の進歩に伴って、その手法が相変わらず高度化している。山東省臨沂市では、受験生が超小型のカメラを持ち込んで試験問題を画像化し、それを会場外にいる人に答えを出させ、さらに盗聴機器をつかって受験生に教えるという高度なテクニックをつかったカンニングも発覚し、公安が関係者を摘発した。

 遼寧省では9歳の男の子が大学入試に参加し、話題をまいた。父兄の話によれば、5歳ですでに3千字の漢字を認識し、小学1年生は1ヶ月で終了して2年生に飛び級、そのまま1ヶ月単位で飛び級して4ヵ月後には5年生になり、あっという間に6年生の卒業試験に合格、5年間で12年間の教育課程を勉強してしまったという。そして今年大学受験に参加し、出来もまあまあとか。全国で最年少の受験生である。

 

 今年は628日に成績が公布されることになっている。満点は一般に750点で計算されるが、地区によって異なる。採点作業は上海市では2000人もの大学教師が担当する。上海市で採点を担当する大学は、復旦大学・同済大学・華東師範大学・上海外国語大学・上海師範大学の5つの大学で行われる。日ごろから仕事に対する態度が優秀な教員を選抜するらしい。受験生は自分の成績を628日0時以降にインターネットで受験生が検索することができる。もし自分の点数に納得がいかない場合は、教育部門に問い合わせて、受験者の試験問題を調べて点数を確認する制度もある。その後、各大学のいわゆる「足きり」となる点数が発表され、それを越えた受験生に対して7月初旬から中旬にかけて3回にわけて合格者が決められていく仕組みになっている。そのため、自分の点数を正確に把握することは大切で、成績は受験生に送られる。8月にはいると補欠の募集が行われ、8月中旬にはすべての作業が終了することになる。

中国でも大学入試全体についての改革が行われつつある。そのひとつが募集定員の大幅増加だ。一方で、大学に入っても就職が困難な実態から、受験生も大学入試に対して、以前のような唯一の登竜門であるかのような意識を持たないようになっている。また、経済的余裕が出てくるにしたがって、浪人してまでも目標の大学に入学しようとする受験生も少なくない。これらもここ数年の変化といえよう。

20056月取材・山之内 淳

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