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上海で発生した過去最大級の地下鉄事故




上海のメディアのトップで紹介された地下鉄1号線の事故


 2009年12月22日の冬至の日、上海市の地下鉄は相次ぐトラブルに見舞われた。上海で地下鉄1号線に列車が走り出して16年になる。今回は、過去最大規模の事故として地元の新聞でも大きく速報扱いで報道された。

人民広場の駅は乗車できなくなったためガラガラ

1.1回目のトラブル
 ことの発端は12月22日朝5時50分に発生した陜西南路~人民広場で発生した電気トラブルだ。突然ヒューズが落ちたため、同区間で運転がストップした。原因はトンネルの天井部に使われていた炭素繊維が架線に落ちて、ショートしたらしい。この電力トラブルが回復したのは午前7時過ぎ。それまでの間、富錦路~上海火車駅、徐家匯~莘庄駅での折り返し運転が行われた。筆者もこの時間帯に1号線に乗ろうとしたが、すでに人民広場での2号線から1号線への乗り換えはできなくなっていた。地下鉄会社側も臨時の代替バスを80台出すなどの対策を行っていた。

2.2回目のトラブル
 次のトラブルが発生したのは7時頃。電気トラブルの復旧が終わり、列車の運行が戻り始めたころだった。中山北路から上海火車駅に進入しようとした150列車が折り返しで引き揚げ線に入ろうとした117列車の最後尾と衝突、105列車の前面部分が大きく破損し、脱線した。このとき、折り返しの117列車には乗客はおらず、両者とも速度が遅かったために、けが人などの大きな被害は出なかったのは幸いだった。
 車内からの目撃者の話では、連結部分が破損し、内装などがかなり損傷したようだ。列車が脱線したため、車両が傾いていたという。

 こちらの報道では、どうやら150列車の運転士が、赤信号を見落としたのが原因ではないかと分析されている。
そもそも、上海火車駅では、地下鉄1号線を全区間運転する列車と上海火車駅で折り返す列車と2種類の列車が交錯する。1号線の車両不足にともなう暫定的な運行形態のようだが、そのためにダイヤが複雑になっていることは否めない。

 7時50分、とりあえず莘庄から富錦路までの全区間の開通は確保されるも、人民広場~汶水路に関しては単線による運行のため、ダイヤの遅れは思うように解消されない。

 利用客の急増にともない、9時になって運行形態を莘庄~徐家匯、汶水路~富錦路の区間運転に変更し、衡山路~馬戯城の区間に関しては降車ができても乗車はできないようにした。10時10分過ぎになって、乗客の乗っていない117列車がようやく事故現場を離れる。しかし150列車の乗客はまだ車内に残されていた。12時前ぐらいまで、150列車の乗客は車内に取り残され、4時間近く閉じこめられることになる。途中、体調を崩した乗客が運び出されたようだ。中には、お詫びの声を聞かない限りは下車しないという乗客もおり、結局大部分の乗客が中山北路駅へ脱出できたのは、12時近くになってからとかなり遅れた。こうした対応の遅さが、中国のマスコミでも非難されている。

 ダイヤが正常に動き出したのは14時15分頃。やっとといった感じであった。

3.3回目のトラブル
 ところが、夜のラッシュ時間が落ちつて来た20時45分頃、今度は陜西南路駅で変圧器から烟が出てきて、地下鉄1号線の運行が止まってしまった。常熟路・陜西南路・黄陂南路では、下車はできても乗車ができない状態となった。20時55分頃に3台の消防車が出動し、消火活動が行われた。この3回目のトラブルで、地下鉄1号線が正常運行にもどったのは21時30分ごろになる。

 日頃、通勤通学を地下鉄に頼り切っている上海。しかも、この日は平日のラッシュ時前後に発生したトラブルで、現場がかなり混乱していた。地下鉄を運行管理している申通地鉄集団の関係者も、今回の事故の対応のまずさを市民に謝っている。さらに年齢の若い運転士が多い上海の地下鉄では、緊急時の対応が十分ではないという指摘もある。年末にかけて続々と地下鉄の新線が開通する中、今回の事故は上海の地下鉄に大きな教訓を残したことは間違いない。上海万博を直前に控え、ここ2~3年で急増した地下鉄路線。安全面での懸念が増している。

地下鉄1号線の朝夕のラッシュはかなりひどい 多少時間をずらせたらよいのだが。。。。

4.なぜ信号を見落として停車できなかったか
 上海の地下鉄1号線にもATPやATOなどの保安設備が設置されている。理論上、列車はほぼ完全に自動運転できるレベルまでの設備をもっていると言われており、それが逆に運転士の手動停止の反応を遅らせてしまったという指摘もある。もちろん、今回のような信号の見落としでも、列車が自動的に停車できるシステムがあったはずだった。しかし、実際にはうまく作動していない。このあたりは今後の原因究明を待つしかない。

5.老朽化が進んでいる1号線
 上海で初めて運転された地下鉄1号線は、すでに老朽化が始まっているという声も多い。さらに、列車が不足している状態も改善されておらず、予備車も投入してフルで稼働している。いまのところ、設備の大規模な改修も行われていないため、日々のメンテナンスでしのいでいるという現状が報道されている。より安全な運行ができるよう、整備が進められることを望みたい。
 同時に、我々利用者も、地下鉄を利用するときはなるべくラッシュ時を避け、自己防衛できる体制を持っておく必要があるだろう。

(2009年12月記 山之内 淳








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