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文文の中国茶道体験記50

春の新茶 鉄観音 

 

ウーロン茶の新茶が芳しい季節となりました。文文の茶友の皆様に一番人気の中国茶といえば『鉄観音』です。

この鉄観音、春茶は香り良し、秋茶は味が良しと言われています。ウーロン茶の茶摘は緑茶より約1が月後の5月初め頃です。そして青茶の複雑な製造工程を経て、今まさに美味しい鉄観音が味わえる季節なのです。

工夫茶のお手前で、丁寧に愛情を込めて中国茶を淹れ、スローライフ&スロービューティ。内からも外からも健康で美しくあり続けたいものですね。

鉄観音ほかウーロン茶の工夫茶を淹れる時に使う便利なお道具

蓋碗/Gai Wan 
フタのついた茶碗。そのままフタをずらして飲む事ができ、又、茶壷(急須)の代わりにもなるすぐれもの。


茶壷/Cha Hu
日本でいう急須。磁器では景徳鎮、紫砂壷では宜興のものが有名。写真は紫砂壷


茶海/Cha Hai
淹れた茶の濃度を均一に飲杯に分配するための道具。一般的には磁器(写真は紫砂)のものが多いが、ガラス製のものは淹れた茶の色が正確に判定できる。


飲杯/Yin Bei(高さの低い器)
茶わん。茶を飲む為の器。ウーロン茶の場合小ぶりな器で品茶する事が多い。

聞香杯/Weng Xiang Bei(高さの高い器)
台湾で1980年代に考案されたお道具で古くからあるものではない。茶の香りを逃さないように細長い構造となっている。この杯に先にお茶を入れ飲杯に移して、この杯に残った香りを楽しむ。

茶托/Cha Tuo
茶たく。長方形のものは飲杯・聞香杯を一緒に載せるのに便利。

茶挟/CHaJia竹や木でできているピンセット状のもの。お茶を淹れる時は熱い湯を使うので手をやけどしない為に、又衛生の為に使う。

茶勺/ChaShao:茶しゃく。茶筒から茶葉を取り出す時に使う。

茶匙/ChaChi: 茶さじ。細長い耳掻きのようなもの。

 

鉄観音(青茶又の名をウーロン茶)半発酵茶

地:福建省南部

外形:茶葉は香りを閉じ込めているかのように、ギュッと丸まった形をしている。

香の特徴:蘭の甘い香り蜜の甘い香りが特徴。このバニラのようにも感じる甘い香りをナイ香と呼ぶ。

春茶と秋茶:年に4回摘むことが可能だが夏茶は一般に苦味や渋みがある。良い鉄観音は年に2回のみ摘み春茶は特に香り良く、冬茶は特に味が良いと言われいる。香り重視の中国人には春茶が人気、味重視の日本人には秋茶が人気の傾向があるようだ。

香の持続性:「七泡有余香」(7煎淹れてもまだまだ香りがある)のが特徴

注意:観音王と呼ばれる高級品もあるが、鉄観音と観音王には特に基準がなくそれぞれのお店で勝手にランクわけしているので名前や値段に惑わされないように注意しよう。一般的に良いウーロン茶は緑茶と違い何煎も淹れることが可能。

ウーロン茶の淹れ方

聞香杯/Weng Xiangを使用したウーロンのお手前

洗杯:まず茶器を温めます。急須→茶海(ChaHai)→聞香杯(WengXiangBei)→飲杯(YinBei)と順に温め清めます。

聞香杯→飲杯に湯を移す時に使う道具が茶挟(ChaJia)。

急須に茶葉を投入し軽く降って香りを引き出し、急須ごとお客様に渡し香りを楽しんで頂きます。

この時『請聞茶QinWewngCha)。』と一声かけましょう。

潤茶(RunCha):茶葉の入った急須に湯をそそぎさっと茶海に移します。これは茶葉を潤し温度と香りと味ををさらによくするための作業です。

次に茶海→聞香杯→飲杯と順に移します。

1煎目のお茶を淹れ、聞香杯に注ぎ分けます。注ぎわける事を分茶(FenCha)と言います。

飲杯でフタをして香りを閉じ込めます。これを、写真のようにくるっとひっくり返して

茶托にのせ、 お客さまに『請用茶QingYongCha)』とすすめます。

                                                    2006年6月文文



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