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自然とたわむれる秋の浙江省
~双渓漂流と浙西大峡谷~(前編)


双渓漂流


 さわやかな秋風の到来とともに、また絶好の行楽シーズンがやってきた。 普段はなかなか自然に触れることができない上海だが、ちょっと足を伸ばすだけで、きれいな空気ときれいな水、それに緑の山々を楽しむことができる。
 今回は上海から程近い、浙江省の観光地を2つ紹介しよう。



双渓漂流

 杭州市の西北約30キロに位置する径山鎮では、川下りが楽しめる。
 この双渓漂流は約5年前に開発された観光地。莫干山と天目山からの水が流れ込む双渓を、竹のいかだで約1時間半かけてゆっくりと下る。
 ここは国家AAAA級の観光地として認定されており、中国でも有数の川下りの景勝地として呼び名が高い。多い日には一日に8000人が訪れ、2004年には年間来場者数が70万人を突破したということからも、その人気ぶりがうかがえる。果たして「江南一」といわれる川下りはどのようなものだろうか。

 さて、訪れたこの日も客の入りは上々。西洋人の団体客も目立つ。
バスを降りると目の前には土産物がずらりと並んでいる。店の主人がしきりに雨合羽を勧めてくるところをみると、そうとうダイナミックな川下りなのだろうか。嫌が応にも期待は高まる。
 店先では大勢の客が土産物の水鉄砲を試し撃ちしており、ぼやぼやしていた矢先、冷たい一撃を浴びた。竹でできた水鉄砲は一本1元。あたりは一面の竹林なので材料の調達に困ることはない。

 
(左)駐車場前の土産物屋 (右)水鉄砲の試し撃ち

 ちょっと頼りないビニールの靴カバーや雨合羽など、思い思いの装備に身を包んだ一行が乗り込んだのは水牛が引く牛車。乗船地点までは牛車で送ってくれるのだ。御者のムチに追い立てられた牛車は、緑が鮮やかな竹林を猛スピードで駆け抜ける。牛は意外なほどの俊足で、メインに入る前から客の歓声が上がる。このようなちょっとしたサービスもここの人気の秘密なのか。

 
(左)すぐ破けてしまった靴カバー (右)乗船地点までひた走る


 いよいよ乗船。8人乗りの大型いかだにはチェアーが備えてあり、そこに座る。すべて竹でできており、地元の資源が地域振興にうまく生かされている様子に関心。

 
(左)ズラッと並んだ筏は圧巻 (右)つくりは結構しっかりしている

 川の流れはとてもなだらかで、水も底まで見えるほどに澄んでいる。小さい魚が群れを成して泳いでいる。こんなにきれいな水ならと、せっかく買った靴カバーも脱ぎ捨て、冷たい水に足を浸す。
 しかし、それにしてものどか。途中2箇所ほど、人工的に川をせきとめて高低差を作り出した“ザブーン”があるだけで、あとはどこまでも淡々とした川の流れが続く。雨合羽の武装が拍子抜け感を増している。

 
(左)水深は深いところで2メートル。とてもきれいな水だ
(右)川下りのハイライトがこれとはかなり物足りないが


後ろからの奇襲攻撃!

 こうなったら激流は諦めて、この牧歌的な雰囲気をとことん楽しむまでよと空を仰いだ瞬間、悲鳴が上がった。見ると一行のうちの合羽を着ていない女の子が濡れている。一瞬何が起こったのか分からない。しかし続けざまにまた「ブシューッ」と水が飛んできた。
 気がつくと、そばには後続のいかだが迫っている。そしてそのいかだに乗った面々は手に手に水鉄砲を持っているのだ。どうやら私たちは彼らの標的になってしまったようだ。土産物だとばかり思っていた水鉄砲は、実はこの場で使うものだったらしい。しかも竹製の手作り水鉄砲の威力は想像以上にすさまじかった。
 誰一人として“武器”を買い込まなかったお人よしな我らが一行は、応戦も空しくびしょ濡れとなってしまった。

水掛けがここの流儀なのだ

 前方ではまた別のいかだ同士が激しい撃ち合いをやっている。皆「江南一」の宣伝が多少大げさであったことに、やり場のない思いをこうしてぶつけ合っているのだろうか。しかしみんなそれなりにこの水掛けを楽しんでいる様子。これはこれでアトラクションとして成立しているのかもしれない。






 総合的に言うと、川下りとしての魅力にはイマイチ欠ける。しかし水と空気と風景が掛け値なしにきれいだということは言える。リピーターがいるかどうかはさておき、これだけ集客力があるということは皆それなりに満足して帰っているということだろう。
 ちなみに、ここのトイレは一般的な観光地とは比べ物にならないほど手入れが行き届いており、ほかにも随所に営業努力の様子が垣間見られた。年間来場者数70万人の秘訣はこんなところにもあるのかもしれない。(後編へ続く)

双渓漂流:http://www.shuangxitour.com/index.asp
アクセス:上海旅遊集散中心からツアーバスが随時運行中。

2006年10月記 大山ゆき

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