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虹を歩く気分
〜上海の新しい観光スポット・盧浦大橋〜


盧浦大橋の橋面まであがってきました


盧浦大橋は市内あちこちから見ることができます

 2006年のゴールデンウイークから、上海市を南北に結ぶ南北高架道路の南端にある盧浦大橋が一般公開されている。南浦大橋では、橋を車と同じ高さで景色を眺めることができたが、この盧浦大橋では、ちょっとユニークな試みが行われている。さっそく、この盧浦大橋に出かけてみた。

 盧浦大橋が開通したのが2003年6月。思えば、SARS騒動でややこしい時期だったと記憶している。浦西と浦東を結ぶ新たなアクセスとして、また渋滞が著しい市中心部の交通を外環状線のほうへ連絡する道路として開通した。美しいアーチ型の橋は、上海にある南浦大橋、徐浦大橋、楊浦大橋などその他の橋とは、趣が大きく異なる。鉄製のアーチ橋の支柱間距離としては世界最長で、支柱間のアーチ部分が長さ約550メートルとなっている。橋の躯体部分は、溶接によって作られており、溶接された長さは4万平方メートルにもなるという。これだけの規模の橋に溶接法を使うのもかなり珍しいそうだ。

橋の袂から大橋を望む

 また、大型船の航行が多い黄浦江の特徴から、7万トンの船が橋の下を航行できるように橋面の50メートルと高さは高めに設定されている。

 盧浦大橋は2010年に上海で開催が予定されている上海万博の予定地の中心軸上に位置し、いわば、万博のシンボルの一つといってもいいぐらいの存在感がある。夜になるとこのアーチ部分に照明がともされ、美しさが際立つ。アーチの曲線日が、まるで黄浦江にかかった虹のようにも思える。


 ところで、この橋を車で通るときに、アーチ部分の両端に階段が設置されていたことは、前々からニュースとなっていた。しかしキケンであるなどさまざまな理由で一般観光客に長らく開放されなかった。それが、2006年の5月の連休から急に開放されることとなり、なんとこの階段を登ることができるというのである。

 さて、橋への入り口は、ちょうど南北高架道路の浦西側の真下に位置するので分かりやすい。徐家匯方面からだと205番のバスの終点に位置するなど、橋の真下はバスターミナルになっている。一応橋の見学には予約が必要と報道されていて、その電話番号も公表されていたので、とりあえず 800-620-0888 に電話しておいた。ここで、名前と連絡先と見学人数を言えばよい。しかし、だからといって入場したときに予約したことを聞かれるわけでもないので、予約は必須というわけでもないらしい。


どう考えても足が細いように感じるのだが

 門入り口でチケットを買うと、目の前に盧浦大橋の巨大な橋脚が姿を現す。ダムもそうだが、こういった巨大な人工物は、それだけで十分に威圧感を感じる。コンクリートの塊に吸い込まれていきそうだ。しかし、改めてみると高架橋部分の足が意外と細いことに気づく。

 入り口にはいろいろな注意事項が書かれている。まるでジェットコースターに乗るときのような注意事項だ。体力がある人、血圧が高い人は注意するようにとある。また、6ヶ月以内に手術をしたことがある人や、酔っ払っている人、身長が1.2メートルに満たない人は橋を登ってはいけないらしい。

大きな貨物船が製造中 人間がアリのように小さい

 おそらくテロ防止や物の落下を防ぐためなのだろう。荷物は1階の荷物預かり所で預けて、金属探知機のセンサーをくぐる。そこからまずカメラを片手に高さ50メートルの橋面までエレベーターで昇る。

 ガラス張りのエレベーターの眼下には1865年に創立された江南造船廠の造船工場が広がる。江南造船廠は、中国近代の工業史に残る大規模な造船場で、今でも大型貨物船がドックに入っていた。


東方明珠テレビタワーと金茂大厦が見えています

 橋面にあがれば、そこは南北高架道路だ。車がびゅんびゅん行きかう。黄浦江の河の上だけに、風がかなり強い。なお、気象が良くないときは橋の見学はできないことがあるそうだ。この日は、幸いにも快晴で、橋面からも東方明珠テレビタワーや金茂大厦がくっきりと見えた。

 さて、いよいよメインのアーチ部分の登攀だ。遠くからみれば緩やかなアーチを描いているも、よく見ればかなりの角度だ。ここからアーチ部分の一番高いところまで階段が367段あるそうだ。橋の要所要所には係員が立っていて、簡単な橋の解説をしてくれる。階段の両側に一応手すりがついているものの、意外と高度感がある。子供が降りてくるのに尻込みしてしまうほどだ。
 手すりの隙間からおそるおそる下を見ると、黄浦江の川面がはるか下のほうに見える。船が通り過ぎていく。

 
(左)階段を登っていきます   (右)巨大な橋の骨組みから下を覗く


橋のてっぺんは以外にも広い

 階段の傾斜角度が若干緩やかになったかと思うと、いよいよ橋の最高点だ。
 最高点は、ちょっとした広場になっていて、上海の景色360℃のパノラマで存分に楽しむことができる。遮るものがないだけにすばらしい。眼下には万博予定地の立ち退き作業が行われていることが良く分かる。北西の方角をみれば、はるか彼方に徐家匯港匯広場のツインタワーが望める。


 
(左)徐家匯のツインタワーがみえます   (右)江南造船廠の全景です

 
(左)橋の南西方向 万博のころには整備もすすみます
(右)橋の南東方向 メインのパビリオンが並ぶエリアです


 こうやって見れば、上海の摩天楼の数は半端ではない。ビルが「林立」しているとはまさにこのことだろう。目の前にまた円柱状の超高層ビルが建築されているが、将来は上海で始めての5星クラス以上のホテル(白金級ホテル)が建設されているのとのこと。南浦大橋や徐浦大橋もはっきりと見えた。この日は景色を見るには最高の天気で、上海のパノラマが欲しいままだ。

 
(左)橋の西側を望む   (右)人民広場方向を望む

 帰りはそのままもとのルートをくだっていく。浦東方面へは階段は開放されていない。高度感は降りるときのほうがもっとある。なんでもない階段なのに、足に妙に力がはいってしまった。

 できたら、盧浦大橋から上海の夜景を見てみたいところだが、今のところ夜は開放されていない。入場料がそこそこ高いため、5月の連休期間中でも見学に来る人は少なかった。でも、上海の万博にともなう劇的な変化を、直接的に見ることができるという意味では、お勧めの観光スポットの一つである。

(2006年5月取材・山之内 淳)


盧浦大橋

住所:魯班路909号
予約電話:800-620-0888
見学可能時間:10:00〜16:00
入場料:68元(試験営業中の価格)
HP:http://www.shanghaiclimb.com
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