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潮風を感じに~金山石化~

  

 

 最近、上海の新聞で上海にも海水浴場があることを知った。妙に興味を持った筆者はさっそく地図を眺めてみた。

 上海は三方を海と長江で囲まれているのに、浜辺や海水浴といった話題をめったに聞かない。もちろん、浜辺がないというわけではない はずだがいったいこの海水浴場の実態は如何? というわけで、今回は数少ない上海のビーチ、金山石化に行ってきた。

 
 

 

                                           

 

 金山区といってもなかなかピンと来ない人が多いはず。上海市の南西に位置し、隣はもう浙江省である。杭州湾に面しているエリアだ。上海人の間では、大規模な石油化学コンビナートがあるところ、旧日本軍が上海侵攻時に上陸したところ、などなど何かと話題はあるようだ。さらに、沖には大金山島、小金山島、浮山島が浮かんでいる。

 

 金山石化の石油コンビナートは、1974年に開発が始まったもの。70年代に中国で最大級の化学繊維を生産する化学工場が建設された。その後、 によって重点的な石油化学コンビナートとして発展していく。

 高速道路に乗って金山石化に向かうと、まずたくさんの煙突群が見えてくるので、工業都市として発展してきたことは容易に想像がつく。

 

 交通アクセスは良好で、市中心から意外に近い。閔行区のシン庄から金山衛鎮まで高速道路がつながっており、さまざまな系統の路線バスも運行されている。地下鉄1号線錦江楽園駅からは、高速道路経由のほぼノンストップの特急バス 「石梅線」が運行されており、所要時間は1時間ほどだ。空調バスで片道12元だった。

 金山区の人口は約60万人。その中でも金山石化は、最近開発された街だけに、道路も広く整然と整備されていた。バスターミナルを中心に栄えている街の中心部は、 マクドナルドなどもありかなり開けたイメージ。石油化学コンビナートが建設されているので、環境問題には特に気を配っている様子がわかる。 

 海岸線までは、バスターミナルから歩いて15分ぐらい。三輪自転車に乗ると5元ぐらい(要交渉)で海岸線まで運んでくれる。海に近づくにつれて、空気が湿っぽくなりなんとなく潮の香りがしてくる。 付近はかなりの規模の住宅地だ。

 

 

 海岸線は公園としてそれなりに整備されている。実は、ここで国際ビーチバレーボール大会が開催されており、スタンドが設置されている。2005年から2008年までの間、金山で4回にわたってビーチバレーボール大会が行われる契約で、開催時期は一応人でにぎわうようだが、地元の友人に聞けば、いまひとつ盛り上がりに欠けるそうだ。

それでも、上海唯一ともいえるこの海岸線を何とか盛り上げたいという地元の熱意は感じられる。今度はこの海岸線を利用して2005730日に「2005年風夏音楽季」というイベントが行われる。Baby Q・王蓉・羅志祥・容祖児・黒棒・謝霆峰など上海地区だけでなく、香港・台湾地区のスターも集まって、コンサートが行われる。ChannelV〕や衛星放送などのメデイアを使って、アジア全体で放送されるという。金山の知名度を上げるには、もってこいのイベントだろう。8月、9月にも第2弾、第3弾とイベントが目白押しのようだ。

 

さて、肝心の海はどうだろうか?

う~ん、これはお世辞にもきれいとはいえない。少なくとも中国に10年もいて、トイレを見ても驚かなくなった筆者でも泳ぐ気にはなれなかった。一応、海岸の様子を呈しているものの、のっぺりとした泥のような、土のような海岸線を、ビーチサンダルではとても歩けなかった。砂をサクサクっと歩くというのには程遠い。むしろ長靴を履いて海岸線を歩きたい気分。

 

とはいっても、海岸線エリアでは水着・浮き輪を売っている行商人がたくさんおり、実際に浮き輪を持って泳いでいる人の姿を多数目撃しているし、「遊泳許可エリア」が指定されているということは、泳いでもよいということなのだろう。さらに、トイレやシャワー などの施設も発見。

それでも、潮の香りと潮騒はちゃんと体験できる。また、防波堤を歩いてみれば、たくさんの蟹が走り回っている。自然が生きているのだとホッとしてしまう。海辺で目を静かに閉じて、 音を感じながらどこかのリゾートにいる気分で楽しむしか仕方がないだろう。

 

上海一高い山、大金山

 上海市で一番高い山はどこにあるか?松江区にあるShe山でもない。実はこの大金山島にある山で、標高は105メートルほど。金山に浮かぶ三つの島、大金山島、小金山島、浮山島は199365日に上海市で初めての自然保護区として指定された。上海市で唯一人の手が加わっていない亜熱帯の原生林が残る地区として保護されている。特に、海に浮かぶ小島ということで動植物が隔離されているため、上海医科大学( 現在:復旦大学医学院)の実験動物基地であったこともある。小金山には約百匹のアカゲザルが生息している。

春秋戦国時代には、村があり城も築かれていたそうだ。さらに寒穴泉という湧き水があり、宋代になると名水としてお茶を振舞ったことがあるという。残念ながら、現在は崩れてしまって海の中に沈んでしまっている。 これら島は現在ほぼ無人の状態で、渡ることも厳しく制限されているが、地元の人に聞けば船もないことはないというから不思議だ。

 

左から小金山島、大金山島、浮山島

防波堤を歩くことができる

20057月より海岸線の大改造計画

 金山は上海市にとって貴重な海岸線で、上海市政府はこの地区に2.9億人民元を投資して、海岸線の整備事業を始める。金山区の海岸線は全部で23.3キロあるが、そのうち開発対象となっているのは12.5キロ。ここのクラブハウスやホテル、レストラン、バー、魚介類市場を設置し、長江デルタ地帯の中で、もっともおしゃれな海岸にしようという計画だ。そのさきがけとして、外から砂を運搬してビーチバレーボールができるコートを設営している。

 

 

 

青い海水を再現できるか?

 そこで、ネックとなるのがやはり泥でにごっている海水の問題だ。上海市の周りの海はすべて泥色をしている。長江の関係で、塩分濃度が若干薄いようだが、それでも0.1%以上の塩分濃度があるということで、海としての条件は備わっているそうだ。となると、後は長江から流れてくる泥水 と汚染をどう処理するかということになる。

 そこで、海水浴場周辺に長さ3.3キロ、高さ5.4メートル、幅6メートルの堤防を築き、面積1.5平方キロメートルを囲い込むというプロジェクトがある。そして、外からの海水を浄化・ろ過・沈殿させて、囲みの中に流し込むという仕組み。

 本物がないので、なんでも人工に頼るしかないというのが上海の宿命。どこまで上海で疑似体験ができてしまうのか?まさに科学技術と経済の発展の賜物なのだろう。

 

こんな貝が採れるような海だったら…。しかし中国人の商魂を感じる

2005年7月取材山之内 淳ブログ

(参考:石化汽車站(バスターミナル)

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