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明らかにされた上海ヒルズの全貌

陸家嘴の風景がまた変わろうとしている

 完成したら世界一の高さを誇ることになる上海環球金融中心。現在、4日~5日間で1フロアのペースで、上へ上へと建設が進んでいる。外壁となるカーテンウオールの設置も進んでおり、一部では美しい壁面をのぞかせている。

この上海環球金融中心のプロジェクトは1994年9月に土地の取得が始まり、1997年10月から基礎工事が始まっていた。しかし、アジア金融危機などの影響をもろに受け、5年間ほど工事が中断した。金茂大厦からみると、ごっそりと掘られた穴が、かなり長期にわたって姿を晒していた。しかし、2005年ごろから徐々に動きが出始めた。基本設計やデザインが見直され、2005年11月より工事が再開された。その当時の対日感情のもつれもあってか、デザイン変更には、中国のインターネットなどでさまざまな憶測が流れた。

そして、2007年11月1日に日本の森ビル株式会社が中国事業本部を設立し、中国のプロジェクトを統括的に管轄する組織を作った。さらに、森ビル株式会社による中国独資企業である「上海秀仕観光会務有限公司」と「上海秀仕酒店経営有限公司」も設立され、上海環球金融中心のホテルや観光施設などの運営を行う。

そんな中、2007年11月20日に日本の森ビル株式会社と上海環球金融中心有限公司により、上海環球金融中心が上海ヒルズ(Shanghai Hills・中国語名:上海秀仕)と命名された。これまでに森ビルが日本で開発してきたArk Hills、愛宕Green Hills、六本木Hills、表参道Hillsに続く大規模プロジェクトが今回のShanghai Hillsだ。上海の新しいシンボルとして世界中から注目されているプロジェクトだが、今回は、明らかにされた上海ヒルズの全貌をご紹介しよう。

 

2006年11月現在、高さ300メートル(70階)を突破した建設現場

全体の設計概略

94階~101階

観光施設・展望台など。 目玉となるのは、高さ472メートル(100階)にある長さ50メートルのブリッジ状の展望台。カナダのCNテレビタワー(447メートル)を抜く世界で最も高い展望台になる計画。さらに、94階には面積700平方メートル、天井までの高さ8メートルの巨大ホールも設置され、上海の景色を背景にイベントを行うことができる。

79階~93階

ホテルが入居する予定。Hyattoグループ(凱悦集団)が入り、内装設計は著名な華僑系アメリカ人の季裕棠氏。この建築家は、1つの都市には同じタイプの建築物を1つしか設計しないというのがモットーとして有名だ。 客室数180室、平均面積60平方メートル、さらにホテル最上階には600席のレストランが設計されている。

7階~77階

オフィスフロア 総面積3300平方メートルの高級オフィススペースが設置される。12000人収容可能で、大手企業の入居をターゲットにしている。すでに、予約が入っているという情報も。

3階~5階

会議スペースとなっている。面積850平方メートルの大会議室のほかに、多目的室なども設置される。イベントやディスカッションなどに使われる。

地下2階~3階

ショッピングモール。総面積13600平方メートルの飲食店、ショッピングモールが入る。店舗数はレストランも含めて、50~60店舗となる見込み。地上1階~2階はエントランスホールとなる。

地下3階~

駐車場設備

 

 上海ヒルズ内には、約90台のエレベーターが設置され、最も速度の早いエレベーターで、秒速10メートルの速度で上昇する。金茂大厦のエレベーターが、毎秒約9.1メートルなので、それよりも速いエレベーターとなる。金茂大厦のエレベーターでも速すぎて、耳がツンとなったが、今回は大丈夫なのだろうか。

    どんどん経済成長する上海だが、2008年にはこの上海にも「ヒルズ族」が誕生するのだろうか…

 

歩道橋でつながる陸家嘴の建築群 

 何かと移動に厄介な陸家嘴の高層ビル群。特に88階建ての金茂大厦から、延安路トンネルを抜けて、道路の反対側に出るのは一苦労だ。そこで、この付近のシンボル的な高層ビルを、歩道橋でつなげてしまう構想が発表された。森ビル株式会社によれば、東方明珠テレビタワー・金茂大厦・上海環球金融中心・新鴻基プロジェクト(正大広場の横に建設中の大型レストラン・ショッピングエリア)を香港や日本での経験を活かして歩道橋でつないでしまうという計画だ。この歩道橋計画はまだ構想段階だが、すでに現実身を帯びてきた。 観光客だけでなく、付近のビジネスマンにとっても朗報といえよう。現在、陸家嘴金融エリアは、飲食店もまだ多くなく、昼食さえも大きな問題となっていて、昼食用のショッピングモールへのバスが運行されているぐらい。ビジネスマンが歩いてエリア内を移動できる環境を作ることは急務だ。 

【データ】

名称:上海環球金融中心(Shanghai Hills・中国語名:上海秀仕)

暫定住所:上海浦東新区陸家嘴金融貿易区 Z4-1用地

総建築面積:38.16万平方メートル、高さ492メートル、地上101階(地下3階)

完成予定:2005年11月16日より工事が本格的に始動。2007年9月9日に全体の構造建築が完成し、2008年の北京オリンピックまでに供用開始。

(2006年11月記・山之内 淳)


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