上海TOP > FEATURE > 麗しの崇明島

麗しの崇明島(1)

               (東灘の湿地帯で羽を休める渡り鳥)

 

 最近上海市内のタクシーにのると、時々市内の道に明るくない運転手に出会うことがある。そんなとき、運転手の出身地を聞いてみると崇明島と答える場合が少なくない。

 上海市宝山区をさらに北へ進むと長江が流れているが、その長江を渡ると上海市崇明県がある崇明島がある。長江の淡水と東シナ海の塩水が混じる「汽水」エリアであるため、陽澄湖などの上海蟹の稚蟹の大部分がこの崇明島で育てられる。長江が運んできた肥沃な大地と、大切に保護されてきた自然環境が一躍注目を浴び、20051116日も上海市による『崇明三島総合開発計画』が発表されたばかりだ。島の東側には世界有数の湿地帯が連なり、渡り鳥の観測点としても名高い。


崇明島の概況

 

 崇明島の面積は1083平方キロ、台湾島や海南島に次ぐ中国の三大島のひとつだ。長江から流れてくる土砂により形成され、今でも年間143メートルの速さで東シナ海に向かって成長し続けている。島の全長は東西に76キロあり、南北には13キロから18キロの長さがある。島の北側の一部は江蘇省に属するが、その大部分は上海市に属している。最近では長江上流の三峡ダムによって移転を余儀なくされた農民が、移住の地として崇明島が選ばれた。

絶え間なく流れてくる土砂の影響で、崇明島の形は変化し続けている。崇明島の島としての記載があるのは唐の時代、618年ごろといわれている。その当時の地形から推測すると、日本へ渡った鑑真和上が揚州の大明寺にいたころの長江の河口は、今と違って揚州や鎮江一帯までさかのぼることになる。もちろん上海もそのころはまだほとんどが海の中だった。

唐代の崇明島の面積はたった数10平方キロほど。そのうち人がだんだんと移住し始め、崇明鎮が形成されていく。長江河口がどんどん東へ延びていくに従って、島の形は変化を続け、崇明鎮も移動を繰り返し、最終的に今の城橋鎮に落ち着いたのは1583年になる。

現在も島の形は変化をし続けており、島の北側の長江支流は年々狭くなっており、近い将来は江蘇省と崇明島は合体し、南東部の長興島と横沙島があらたに島を形成していくものと考えられている。

東灘に沈む夕日

現在、崇明島と上海市本土との間にはフェリーしかなく、交通は不便であるが、『崇明三島総合開発計画』によれば、新たに地下鉄9号線が長江を超えて崇明島に直通することが決定した。これにより、松江区から徐家匯・浦東新区の外高橋を経由して崇明島に至る地下鉄ルートが完成する。また橋とトンネルを使って高速道路を開通させるプロジェクトも2004年度から始動しており、交通アクセスは格段に改善されることになる。

2010年完成を目指す長江大橋・トンネルプロジェクトはトンネル部分の長さが8954メートルで、直径15メートル(内径13.7メートル)。このトンネル内部には3車線の道路が敷設され、2本のトンネルを建設することにより上下あわせて6車線の道路となる。トンネルの直径は世界最大規模。

さらに『崇明三島総合開発計画』では島の各エリアの機能についても明確に定義されていている。崇明島は長江河口の環境保護地区としての色彩を強め、2020年の人口も65万人未満に抑えることを目標とする。また島全体の面積の55%以上を森林とし、開発禁止エリアを指定して、永久的な環境保護を目指す。一方で長興島を船舶や造船業の基地として開発し、すでに南浦大橋周辺にあった造船会社も移転しはじめている。横沙島はレジャーが楽しめる島として整備する。

取材にいったときは収穫の真っ盛り


崇明島へのアクセス

 

崇明島の中心は城橋鎮と呼ばれる街で、ここにある南門港から船が出ている。上海市本土から島へのアクセスは高速船とフェリーだ。フェリーには車やバスを載せることができる。崇明島への船は宝山区の宝楊路港呉淞路港から出航する。宝楊路港からの方が便数は多い。宝山区の宝楊路港へはアクセスは地下鉄1号線の共富新村駅など市内中心部から路線バスが運行されているが、一番簡単なのは上海体育館から運行されている旅遊5号線の定期観光バスの利用だ。高速船を使うと約40分でフェリーを使えば1時間半前後で結ばれる。崇明島と本土との船はかなり頻繁に運行されているが、日曜日の午後など本土に向かう人の流れが多く、売り切れになることが多いので、島からの帰りの便に関しては早めにチケットを購入しておくことが必要。なお、湿地帯のある崇明島東部の東灘地区にいく場合は、崇明島のもう一つの港で、島の東側に位置する堡鎮からのアクセスが便利だ。本土側では宝楊路港から船が出ている。上海⇔崇明島(南門)高速船はほぼ1時間に2本の割合で、上海⇔崇明島(堡鎮)のフェリーは1時間の1本の割合で運行されている。座席は全席指定。料金は船のクラスによって異なるが、概ね片道20元前後。

待合室 鉄道の駅に似ている

高速船(スピードは速いが結構上下に揺れる)

フェリータイプ(1階に車が載る)

結構天井が迫っていて狭苦しい

広々としていてなかなか快適だった 個室もある


宿泊

星つきのホテルは城橋鎮の南門港付近に集中している。しかし、東灘の湿地帯などの見学に行った場合、島東側は自然保護地区なので付近一帯に宿泊施設や店などが一切ない。そこで、テントをもっていったりする場合もあるが、そこまでしなくても農家に家に泊まったりする「農家楽」と呼ばれる活動があったり、休暇村など観光客向けの施設を利用すると、日の出の見学時には車を準備してくれたりする。(詳しくは次回の東灘のコーナーで掲載予定)

 

上海天鶴大酒店   ★★★  崇明城橋鎮南門路178号 電話02159625962

順利山海大酒店    ★★  崇明城橋鎮新崇南路2号 電話02159628800

錦繍賓館        ★★  崇明城橋鎮新崇南路4号 電話02169629888

崇明島のホテル予約はこちらからどうぞ


長江の広さを感じるにはもってこいかも。南門から上海方面を見る。

南門港付近はかなり賑やか


2005年11月記

(山之内 淳 中医ドットコム)

崇明島等へのフェリー情報

崇明島・長興島へのバス路線が開通!

上海のホテル予約はこちらからどうぞ
[エクスプロア上海TOP] [上海・上海近郊の観光] [エクスプロア中国トラベル ホテル&航空券]

Copyright(C) since 1998 Shanghai Explorer