北新疆カナス湖への旅 第五章:エクスプロア
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北新疆カナス湖への旅

北新疆カナス湖への旅 第五章
-- ウイグル人友人との再会 --


図瓦人の部落禾木全景

 ツアー4日目もカナス湖に滞在、普段よりはゆっくり目の日程で我々21名一行全員はオプショナルツアーでカナス湖景区のもう一つの遊覧地「禾木」(ハームー)を訪れることにした。禾木はカナスよりバスで山間のクネクネ路を乗ること2時間ばかり、モンゴル族系統でラマ経を信じモンゴルの風習伝統を密かに守って来たトア(図瓦)人の住む地域である。丸太で組んだ独特の家に住み昔は狐やテン等の狩猟で家計を支えていたが、今や観光客相手の宿泊・レストラン・土産物販売からの収入で生活をしている。このトア人は中国の56の少数民族には属しない極少数の種族でトア族とは言わずトア人と言い2000人強しか居らずその数は減少しつつあるとの事です。トア人はウラルアルタイ人に属し日本人とどこか似た親しみを感じる人達である。
  漢族の経営する宿泊所で昼食を取りトア人の集落が見渡せる山へ登る。原住民は騎馬での登山を盛んに勧める。路傍では毛皮や民族独特の土産を売る店舗が並ぶ。この地の観光シーズンは夏の7月~9月の三ヶ月間に集中する為この時に稼いでおかないと必死である。冬場は2m以上の雪に覆われ気温も氷点下30℃にもなる。晩秋の落葉樹が黄色になる頃の風景はトア人の丸木屋根の住居とマッチし独特の山間の雰囲気をかもし出す。
トア人の子供と 五彩灘
 トア地域での観光を終え今日の宿泊地のプーアルジンへ向かう。途中山のクネクネ路で乗用車が一台崖から落ちて交通渋滞にぶつかった。プーアルジン手前に2年ほど前に香港華僑が観光開発した「五彩灘」と言う七色の地表を見せる珍しい地形を見学した。特に夕方には天然の地表のカラフルな色と夕陽が混じりあい素晴らしい景色になる。五彩灘の側を流れる川の流れは普通中国では西から東へ流れるがここだけは地形の関係で東から西へ流れるとの事である。

プーアルジンの夜市で販売の新鮮魚
 夜8時にはプーアルジンのホテルへ到着。ホテルでの夕食は少し控えめにしてまだ日が明るい内にプーアルジンの有名な「夜市」に出かけた。川側の夜市の店舗は50以上あると思われる大規模なもので、ここは何と言っても焼き魚が有名で、魚を焼く煙が当たり一面に立ち上り、客引きの声が大きく響く。店の前には新鮮な色々な種類の淡水魚が並べられていて値段交渉をしてその場で一つ一つ串焼きにしてくれる。魚焼きに使う調味料が日本と違って羊肉を焼く時と同じ唐辛子、胡椒をたっぷりつけて焼く。その香ばしい焼魚を肴にしてビールで酒盛りを夜遅くまで続ける。北新疆の一夏の風情である。

 ツアー5日目はプーアルジンからジュンガル盆地の西の路217号国道を約700kmウルムチを目指し只管南下するだけである。途中石油の産地で有名なクラマイの北100kmにあるウルホ「魔鬼城」を見学する【地図】。ここは数年前NHKで紹介したことがありご存知の方もあるかと思うが、この地は1億年以上昔、湖あり樹木が茂り恐竜が生息する場所だった。その後地殻変動で隆起し、何千年との長い歳月をかけて地質の柔らかい所が強風で吹き飛ばされ固い岩盤だけが残る所謂風化され、現状の様な奇観を残した。その形は見る角度によっては,鳥や動物や人の形に見え、ある所はエジプトのスフインクス、北京の天安門に見える。小生はNHKの映像で見た恐ろしい場所を想像していたが、我々が実際見学した場所は観光用の一部で恐ろしさは全く感じられなかった。ただその奥には観光用の何倍もの広さの未探検の場所があると言う。「魔鬼城」の言われはこの場所はジュンガル盆地の一部が欠け落ちた場所に当たり特に風が強く吹く。風化により出来たこの地形を風が吹きぬく時様々な音を出す。その音が混じり共鳴しあい恰も魔物が雄叫ぶ様に聞こえた事より名付けられた。実際その雄叫びは聞けなかったが風は本当に強い、その事は写真の小生の少ない髪の流れを見ていただければ理解してもらえるのではないかと思う。
ウルホ魔鬼城 ウルホ魔鬼城にて
ウルムチの少数民族友人
 「魔鬼城」の見学を終えクラマイからは国道217号線を使わず三角形の一辺を行くかの如く呼図壁市を目指し201号自治区道を通ってウルムチへ向かった。ウルムチのホテルへ着いたのが午後8時。その夜は旅行団との団体行動はとらず、ウルムチのウイグル人友人から夕食を招待された。彼は北海道旭川の大学へ留学経験があり、日本語を流暢に話す。彼はウイグル少数民族であるが大学では中国語での教育なので漢民族と同じく中国語が出きる優秀な人である。夕食時には彼の友人4人を呼んで一緒にモンゴル料理を食べた。友人の1人はモンゴル族の男性で、彼も日本留学経験があり現在は新疆の旅行社の日本部の部長をしている。彼曰く7月5日の「暴動」の影響を受け、それ以来国内でのショートメールは受発信できない、ネットは見られない、国際電話はなかなか通じにくく仕事にならない。日本観光客が全く来ない。この為日本語ガイド5名全員失業中。『例年なら一番の稼ぎ時で忙しいのに非常に残念だ』と言っていた。その他3名はウイグル人その内2名は典型的ウイグルの美女(写真26)、2人とも今年大学卒業した22歳の若者。しかし就職先が見つからず就職活動中との事。宴会中彼らは酒が強く新疆のアルコール度52度の「白酒」を男4人で2本飲み干した。宴会後半は日中双方で歌を歌い友好を深めたが小生は最後ホテルに如何帰り如何寝たか覚えてない。朝目が覚めたら部屋の電気は消灯してなかった。

 ツアー6日目、ツアー一行は海抜下154mにあるトルファン観光に出かけだが、小生は其処へは既に4回ほど行っているのでキャンセルし、友人2人との3人でウルムチの東100kmの南山のカザフ族のモンゴルパオ(包)で昼食・昼寝をするショート旅行に出かけた。途中羊肉3kgと野菜を購入し海抜1900mのパオある場所へ行った【地図】。モンゴルパオのある場所は元軍区で本来外国人は立入禁止らしいが、途中の検問所で日本語を話さない様にとの注意を受け無事通りぬけた。パオのある所からは遥か遠くにボコダ山がくっきり見えた【地図】。持参した食料品をカザフ族に渡し料理をしてもらう。料理が出きるまでナイチャー(乳茶)を飲みながらナン(イスラム人の大きな固い焼きパン)をちぎってバターをつけ食べる。出来上がった料理はピーマンとトマトと玉ねぎのサラダ、ジャガイモのスライス炒め、羊肉のピーマン炒め、骨付き羊肉と人参とジャガイモの煮物、玉ねぎと羊肉煮、最後に骨付き羊肉の水煮、3人で食べきれない程の量だった。何れも羊の臭さは全く無く美味しく食べられた。お腹一杯食べたら眠くなりパオの中で昼寝。パオの真ん中は穴が開き青空が見える。それを見ながら何時しか眠ってしまった。こんなにのんびり過ごした時間を持てたのは久しぶりだった。澄み切った青空の下、新鮮な空気を吸って生活していれば長生きもするだろう。
羊肉売り 南山牧場よりのボゴダ山
カザフ族老夫婦と カサフ族のパオで作ってもらった料理
 ツアー7日目最後の日14日は午後上海へ帰るのでそれまで自由行動。ウルムチ飛行場の近くの土産物屋でトルファン産の薄黄色の種無葡萄を1籠、新鮮で成熟した大きなハミ瓜3個を友人にお土産として頂いた。上海に戻り会社の社員に葡萄とハミ瓜を振舞ったが上海では食べられない甘さがあり美味しかったとの評価を受けた。 今回の旅の前半はバスによる長距離旅行でいささか疲れた気もしたがカナス湖の神秘さと美しさに癒され、後半は久しぶりウルムチの友人と旧交を温める事が出来た非常に良い旅だった。


紅葉のカナス湖臥龍湾(この写真だけはネットより借用)
 カナス湖には晩秋の景色を見るためもう一度行って見たい。
 今年からウルムチからカナス湖までの定期飛行便が飛んでいるので、週末土・日を入れ3日もあれば上海からでも行って帰れる!









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