北新疆カナス湖への旅 第四章:エクスプロア
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北新疆カナス湖への旅

北新疆カナス湖への旅 第四章
-- 神秘の湖カナス湖 --


アウタイ山脈とひまわり畑

 ツアー2日目9日は6時起床、6時半朝食、7時出発。ウルムチは日の出が北京に遅れること2時間なので6時と言っても薄暗い。7時頃になって漸く太陽が顔を出す。早朝先ず向かったのはウルムチ市の東150km、海抜約2000mにある「天池」である。ボゴダ山が青い湖に映る景色は中国のスイスと言われる景勝地である【地図】。丁度その日は日曜日で、しかも8日から天池の入場料金が半額になった事で新疆内の観光客でごった返していた。12時に天池で昼食を取り12時半に今回の観光の目玉カナス湖のある行政都市、プーアルジン県(中国語で「布尓津」)までの650kmをバスで8時間の旅の出発である。北新疆には新疆自治区で大きさ第二の盆地「ジュンガル盆地」があり、今回の旅行はその盆地の周囲を東路(国道216号)を北上しプーアルジンまで行き、帰りは盆地の西路(国道217号)を南下し盆地を一回りしてウルムチへ戻ってくる旅行である。ジュンガル盆地の中は自治区二番目に大きい面積のグルバントングーツク砂漠があり、荒地で何も無いゴビの砂漠地を只管バスで走るだけである。しかし砂漠といっても白色や黄色ばかりでなく時には赤い砂漠もあり驚かされた。国道と言ってもサービスエリアはなく300km毎位にガソリンスタンドがあるだけ。そこでトイレと給油休憩をする。ツアーガイドが言うには新疆を旅する必需品は水と傘である言う。水は分かるが傘は雨よけ、紫外線よけ、女性にとっての簡易トイレとなる便利な物。簡易トイレの意味はトイレ設備が必ずしも整ってない砂漠地帯では女性のトイレ時身を隠すのに必需との事。正しく傘の多目活用の新発見である。
天池 赤い砂漠
 バスは夕方のアルタイ山脈(アルタイとはモンゴル語で金の山と言う意味)の前に広がる大きなひまわり畑を車窓の右に見ながら8時間かけて夜10時その日の宿泊地プーアルジンに到着。長旅のバスに疲れ、遅い夕食をとりそのまま眠りに着く。

 旅行3日目10日はいよいよ今回の最大の観光目的地カナス(漢字で『喀納斯』)湖入りである。2006年からカナス湖を観光リゾート地とすべくプーアルジン県政府は県を挙げて投資しホテルを1200軒も建設した。この2年間新疆区内から来る人々が急増し7月~9月の三ヶ月間は1日平均1万人も訪れる。その際の入園混雑を防ぐ為朝食はゆで卵と中華饅頭「花巻」の簡単な弁当を持参しホテルを朝6時半に出発。カナス湖の入り口まで150kmの山道3時間。カナス湖の位置は黒龍江省のチチハルより北、モンゴルの首都ウランバートルより北の約北緯49度で、サハリンのほぼ真ん中ポロナイスクと同じ位の北にある。小生がこれまで中国で一番北に来た場所である。経度的にはインドのカルカッタとほぼ同位置で東京より西へ4時間位の位置にある。カナス湖一帯は国家5A級旅遊景区、国家級自然保護区、国家級森林公園、国家級地質公園に指定されている。行政的にはアルタイ地区プーアルジン県に所属し、自然の風光明媚と少数民族風情が一体となった景勝地区である。景勝地区の面積は2200k㎡、カナス湖の湖面は海抜1374m。景区内には319の大小さまざまな湖沼、ロシアとの国境には海抜4082mの友誼峰がありその裾野には210本の第四紀の氷河が完全なままで残っている。自然資源も豊富で寒温帯の貴重で珍しい動植物が数百種類生息している。
カナス湖で記念撮影 紺碧のカナス湖一部
 【地図】国家地質公園の碑があるところで観光バスはスットプとなりそれ以上は保護区内に入れない。観光客はそこで入場券を買い、全員区内専用バスに乗り換えカナス湖内の景勝スポットへと観光を開始する。その日も観光客は平日にもかかわらず早朝から大勢詰め掛け入場券を買うだけで30分はかかった。区内を運行する観光バスには区内のガイドが付きカナス湖について詳しく案内説明してくれる。カナス湖から流れ出た川に沿って観光スポットがいくつかありそれを見ながらとりあえずカナス湖畔まで行く。眼前に青く澄み切ったカナス湖が見えた。カナスとはカザフの言葉で美しい『神秘な土地』と言う意味の通り湖面は全く波も無く静かにその秀麗さを見せてくれる。「これが中国で一番北にある海抜1374mの湖か」と感銘しながら兎も角1枚記念撮影。湖の全長は25km、幅も広いところで3kmもあると言う。カナス湖は氷河で削られたU字谷が沈水し出来たフィヨルド式の湖で幾つかの湾曲がありその第3曲湾と言う所まで行って帰ってくる40分位の船遊覧があるとの事で入園券とは別料金96元(通常は120元)を払い遊覧船に乗る。北緯49度の湖面を渡る風は涼やかで気持ちがいい。一番深い所は188m、湖の水の色は写真で分かる様に濃い青ペンキを流した如く澄み切っている。この湖の色も季節や気候と共にそのつど変化すると言う。カナス湖が一番綺麗に見えるのは9月下旬の紅葉の頃、湖周辺の落葉樹の胡楊樹(乾燥地に育つポプラの一種)は深紅色に、白樺樹は黄色に変化し、常緑樹の杉の一種樅(タンネンバウム)の緑色に映え、赤黄緑の三色のコントラストはそれこそ一幅の油絵を見るが如くと言う。それを想像しながら景色に見とれる。9月にその景色を何とか見る為もう一度来て見たいと思った。
 昼食を終えてから我々観光団一行は中国とカザフスタンとの国境(白哈巴)まで行くオプションツアーに行くことになったが、外国人の小生は不許可との事で仕方なくカナス湖を上から見渡せる海抜約2000mの「観魚亭」へ行く事にした。途中までバスでそこから階段1000段程上った所にあるとの事で「白哈巴」に行かなかった7人と一緒に階段をゆっくり登った。階段は山の稜線に敷かれており右手にカナス湖を見ながら湖面から吹き上がって来る爽やかな風を感じながら一段一段登る。湖を遊覧する船が小さく見える。青いソーダイ水にミルクを混ぜた様な湖面が大きく広がる。空気が澄み切っている性か高山の性か写真が素人でも皆綺麗に絵葉書の様に撮れる。
 このカナス湖には正体不明な「怪物」(UMA)が棲んでいると言われる。今年7月3日の自治区ニュースサイト「亜信綱」に観光客がその魚影の撮影に成功したとの報道がある。
 (観光客が「怪物」に遭遇したのは2日午後4時ごろ。ボートに乗って湖を遊覧していた時、湖面に突然1m余りの大きな波が発生し、黒い大きな背中を持つ生物らしきものが出現。「見ろ、怪物だ!」観光客の一人が叫んだ。怪物はボートから約100m離れたところで20秒ほど姿を見せ続けたという。カナス湖の怪物目撃騒動は今回が初めてでなく、1985年7月、2005年6月にも発生しており、「カナス湖の怪物」として注目を集めてきた。また、新疆ウイグル自治区では、今年6月にボルタラ・モンゴル自治州のサリム湖でも謎の生物が目撃されており、同自治区で連続して発生した「怪物」の出現に人々の関心が高まっている。)と伝えている。
 現地の住民は「大紅魚」(正式中国名は哲羅鮭といい、淡水で生活する檸猛な冷水性の珍魚の一種、ある条件下では体が赤くなるので、「大紅魚」と名づけられた)と呼んでおり長さ10mもあり、湖辺に水を飲みに来た馬が飲み込まれたとも伝えられている。数年前に本格的な科学調査が行われたが実態は不明のままだったとの事。この不思議な色の湖を静かにこの「観魚亭」から見ていると本当に怪物がいる様にも思える。実態が解明されるより謎のままの方が神秘さをより誘うのではないかと思われてくる。階段の反対側の草原には夏の終わり告げる名も知らない高山植物が沢山咲き乱れ心を和ませてくれた。
カナスの名所月亮湾 カナス名所臥龍湾
 「観魚亭」を下り、次はカナス湖の最大の写真撮影スポット、カナス湖の紹介写真には必ず載っている3ヶ所をゆっくり歩いて見て回る。其処は先ほど景区内に入って来た途中にバスの窓からチラッとその一端を見た場所である。上から「神仙湾」、「月亮湾」、「臥龍湾」の3ヶ所である。景区内はバスが頻繁に通っており各スポット地点で自分の好きな時に自由に乗り降り出来るシステムになっている。アルタイ山脈から流れ出てきた雪解け水はカナス湖を経て川となって下へ流れる。その川は何千年もかけて蛇行したり溜まり場を作ったりして自然の景観を作ってきた。色々説明するより小生が撮った写真を見て納得頂きたい。「素晴らしい」「絶景」の一言である。自然の造形は偉大なものである。
カナス宿泊地夕方の散歩
 今回は夏で緑一色だけで絵葉書の様な美しさは今一つである。これが秋になり落葉樹が変色してくると一層カラフルになり絶景となりいい写真が撮れるだろう。
 ゆっくり3時間ほど時間をかけてカナス湖の自然を満喫した。オプショナルツアーに参加していた人達と午後8時に集合しその日の宿泊所カナス湖の直ぐ南の「賈登峪」のロッジに投宿した。夕食後9時過ぎ温州人の2組の夫妻と山間の夕日を見る為散歩に出かけた。浙江省の温州は上海に近いにしてもその言葉は上海語とは全く違い上海人でも聞き取れず上海人に言わせると寧ろ日本語に近いと言う。








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