北新疆カナス湖への旅 第三章:エクスプロア
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北新疆カナス湖への旅

北新疆カナス湖への旅 第三章
-- ウルムチ市での7・5暴動 --


ウルムチ市内警察警戒

 小生がウルムチへ旅行に行くとメールで友人に伝えたら「7月5日にウルムチで暴動が発生し200人近い人が死んだばかりで本当に大丈夫か?危険だから行かない方が良い」等と親切な忠告が多く頂いた。しかし新疆自治区政府も民族団結と安定を図る為、適切な措置をとり平成を取り戻したとの情報があったので「大丈夫だろう。実態がどうなのか自分の目で確かめたい」との考え方とカナス湖という写真で見る神秘な美しい湖への憧憬が強くはやり旅行を決心した。

  ウルムチ空港に着いたのが午後4時頃、ホテルに着いて5時、しかし太陽の位置は北京時間の3時の位置。その日のツアー旅行の日程は自由行動との事で、小生は早速タクシーで暴動が一番ひどかったと聞く「国際大バザール」へ行ってみた。途中の主な交差点各所には4~6名の銃を持った警察官が一塊になり囲いの中に立って物々しく警戒に当たっていた。しかしウルムチの澄み切った青空の下の昼の警戒はそれほど威嚇には感じられなかった。ただ彼らに向けて写真を撮ることは何となく憚られ、遠くから建物を撮る振りをして用心深く撮った(実際後日警官の集まっている所を遠くからデジタルビデオで撮ったところ削除を要求されその場で削除させられた)。バザール内には民族衣装や新疆の果物・乾物などの土産物を売る店が所狭しと沢山並んでいるのだが、以前に来た時とは比較にならない程観光客が少なく全く活気が無い。店員も呼び込みもせず暇そうにぼんやりとしている。地下1階にあるスーパー「カルフール」への入り口では安全チェックと手荷物預かりが厳重に行われていた。

  一人で見知らぬウイグル人が多く住む所へは行かない方が良いとツアーガイドから忠告されていたが、小生は一人で路地の中、ウイグル人の野菜や肉を売っている自由マーケットなどを観察して回ったが特段に危険を感じることはなった。午後8時頃、と言っても日差しはまだまだ明るい。街角にあった小奇麗なイスラム料理の『五月花拉面殿』と言う店に一人で入り、羊肉の串焼き『シシカバブー』と『手工切面拉合曼』と言うトマトとピーマンと羊肉で炒めた太目の手打ち皿うどん、店特製のヨーグルトを注文しウイグル料理を満喫した。

  その後ホテルに戻り夜は危険なので出歩かない様にとの忠告を又無視し10時頃ホテル近くの『夜市』(夜の屋台)に出かけてみた。出店は多く夜市で食事をしている人も多く賑やかで活気があり、どこに暴動の不安があるのか忘れさせる様子だった。夜市でウイグル人がハミ瓜を切り売りをしていたので1切れ(3元)買って食べたが、これが非常に熟しており日本のマスクメロンと全く同じ。小生がこれまで食べたハミ瓜の中で一番美味しかった。

ウルムチ国際バザール会場 五月花拉面殿
新疆の果物売り ウルムチ夜市のハミ瓜売り
羊肉手打ち皿うどん(ラハマン) シシカバブー

 今回の7月5日の暴動の原因は何なのかウルムチ現地の人の意見を聞きたくウルムチで乗ったタクシー運転手全員に「上海から観光に来た者だが7・5暴動の根本原因は何か?」と何気なく聞いてみた。運転手は漢族、ウイグル族の男・女夫々いたがまとめるとこうであった。「新疆はもともとウイグル族の地域で後から漢族が入りこみ勢力を伸ばし過ぎた」、「今度の暴動の首謀者の多くは南新疆の生活貧窮者であり、貧富の拡大、生活の困窮への不満の爆発である」、「7.5暴動の以前に広東省韶関の玩具工場で発生した漢民族のウイグル族への虐待に対する報復である」、「漢族だろうが少数民族だろうが働かず貧困を社会の性にするのは間違いである。山東から新疆に出て来て三代になるが既に新疆生活に慣れてしまい大肉(新疆では豚肉のことをこう言う)を食べるとお腹を壊す」と色々な意見が合ったが、小生は社会主義市場経済がもたらした貧富の差の拡大に根本的な原因があるのではないか、『人は衣食足りて礼節を知る』が全てではないかと思う。

 今回のツアー団は全員で21名、小生を除いて全て上海在住の中国人。道路トンネル建設会社の社員旅行6名(男)、温州出身の不動産経営者兄弟夫妻、母親同士が姉妹でその子供が大学生4名、母親と女子大学生、小学生の子供連れ家族3名、60歳過ぎのおばさん1人旅の構成で小生が一番歳上だった。最初彼らは小生が日本人だと気づかず、カナス湖でカザフスタンとの国境村へのオプションツアーに外国人は行けない事が判明して初めて知られてしまった。日本人と分かると自分達の知っている日本語全てを何も考えず口に出してくる。まず出てくるのは『ミシミシ』(めしめし)、『スラスラ』(死ね死ね?)、『バカヤロー』、『コレハ』、『アレハ』等でドラマや映画に出てくる日本兵隊が頻繁に言う汚い言葉が多い。日本語の挨拶言葉で欠かせない『こんにちは』、『ありがとう』、『さようなら』等はまず聞かない。中国のテレビに出てくる日本人のイメージは非常に悪い。小生も中国の連続ドラマをよく見るが、戦争物で出てくる日本人で善人者はまずいない。ほとんどが軍国主義者の兵隊ですぐに殴る蹴るの暴行を振るう。テレビを見て影響受けた一般の市民中国人は日本語の意味を良く吟味せず、日本人だと知ると親しみを示す為言ってくるのであろうから却って始末が悪い。更によく質問されるのが『日本人はなぜ命を粗末にして直ぐに腹を切るのか?日本では自殺者が多いと聞くがそれは割腹自殺か?』等と聞かれ返答に本当に困る。市民レベルでの日中交流が如何に重要か痛感させられる。

 もう一つ、人の呼称で面白い事を発見した。小生の名前が「伊藤」と分かると誰かがある時「伊藤俊」と呼ぶ、最初小生はどうして小生の名前「俊彦」の「俊」を知っているのかと不思議に思ったが、それは小生の勘違いで「俊」(jun)でも発音が同じ「君」(jun)だと言うことに気がついた。中国では古く「君」は目上の男子に対する尊称として使われているので見下した意味は無い。








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