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98’流行語ベスト10

先日、新聞を見ていて面白い記事を見つけた。「98’流行語ベスト10」である。調査対象は北京、上海、広州各都市の21〜35歳5,400人の若者でインターネットを使っての調査である。結果は以下の通り。

  1. 世界杯(ワールドカップ)
  2. 下 崗(レイオフ)
  3. 房 改(住み替え)
  4. 上 網(インターネット)
  5. 再就業(再就職)
  6. 酷(COOL、クール)
  7. 跳 槽(転職)
  8. 買 車(車購入)
  9. 泰垣尼克(映画「タイタニック」)
  10. NBA

まず、1位ワールドカップ。この夏のワールドカップの上海での盛り上がりはサッカーファンでなくてもひしひしと感じることが出来た。今回のワールドカップ、開催国がフランスという都合上放送が常に深夜なり、かつ中国の学生達にとってこの時期は期末テスト、高校・大学の入試とテストシーズンにかかわらず、多くのファンがテレビを囲み寝不足になったという話を聞いた。また中国の友人に「ワールドカップが行われる年は高校、大学合格者の合格レベルが例年に比べ下がる」という話を聞いた。最初は「まさかサッカーの試合があるくらいで高校、大学の合格レベルが下がるわけがない」と全く相手にしなかったが、中国のテレビ放送でサッカーの試合を見て考えが一変した。なんと放送中に「学生へ:この試合の模様は夏休みも再放送されますのであまり夜更かしせず、夏休みにじっくり楽しんで下さい」というテロップが入っていたのだ。合格レベルが下がるというのも嘘ではないかもしれないと感心してしまったのである。

2位「下崗」(シャーガン)。これは5位の「再就業」、7位の「跳槽」(転職)と合せて説明したい。上記流行語10の中に仕事に関する3つ言葉が入るとは、中国の老若男女、この就業問題についての関心の高さをうかがわせる結果である。2位の「下崗」とは、つまり国営企業などの臨時解雇対策で、日本で言えばリストラにあたり、会社から月300元程の自宅待機手当をもらい(もらえる場合ともらえない場合がある)、いつ来るかわからぬ再雇用を待っている。これは上海に限らず全国で大きな問題となっている。そして5位の「再就業」は、これらの人たちの再就職である。下崗をしている人の中にはすでに自分で仕事を探している人も多く、新聞やテレビの求人広告を見ていても業種によっては下崗人員優先という広告をよく見かける。7位の「跳槽」(転職)だが、多くの人が下崗で苦しむ中、コンピューターなどの専門知識を生かし、サラリーの高い企業へ転職していくケースと一般の転職の2つ意味を持つ(上海雑知バックナンバーK「上海エグゼクティブ」参考)。どちらにしろ中国の職業定着率が高くない証左である。

3位「房改」(住み替え)。ご存知の通りウサギ小屋に住んでいるといわれる上海人にとっては住み替えやマンション購入は一生の夢の一つである。2,3年前に比べると20〜30%落ちたといわれるマンション価格を背景に、購入時期を今か今かとうかがっている上海人の様子が目に浮かぶようである。

結果を見るにあたり、上海人の「自由さ」に関連する項目の多さを感じる。再就職・転職し、車を買い、家をかえ、インターネットで、最新の情報や流行をタイムリーにキャッチする。数年前の中国では考えられなかったことである。

KONOK

(編集注:本稿は1998年8月に本サイトに掲載されました)


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