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上海酷暑物語

海 最近、暑い日が続く。そもそも今年の上海は梅雨らしい梅雨もなく、クリントンの来滬とともにいつのまにか夏になってしまった。最近は連日30℃を越える真夏日が続いている。これだけ暑いとさすがに日々の最高気温のことが気にかかる。

「新民晩報」(発行部数No.1ローカル夕刊紙)にも本日と明日の最高気温が載っている。しかしこの気温予報、不思議なのは「最高34℃−最低27℃」という気温が非常に多いことである。今日は「暑かった〜」と思い新聞を開くが35℃止まりである。自分の予想通りに気温が高ければ「あ〜やっぱり」ということになるが、連日34℃−27℃の予報では本当に予測しているのか疑問が残り、最後には自分がヒートアップしてしまう。新聞の気温予報に関係しているか知らないが、中国の労働法では日中35℃を越えた場合、「高温手当」というのが付く。会社により様々なのだが手当や休暇、生産調整などがある。また出張の場合も高温手当の一環として「冷飲費」なども支給される。実際7/14には最高気温38.6℃を記録した。上海の学校などでは午後から休校にしたり、老人ホームにエアコンを設置したりと政府も対応に追われていた。また江蘇省南京では全国にエアコンの緊急輸送を依頼したり、猛暑のため2人が亡くなったというニュースも入っている。暑さもここまで来ると天災である。

ではこの猛暑に上海の老百姓(一般市民)はどうかというと、デパートの出入口附近に小さな椅子と団扇を持った老上海は去年に比べその数を増しているようだし、高架道路の下で折りたたみ式ベッドを広げ寝ている人も見掛けるようになった。勤め人の中には以前は通勤手段に自転車またはエアコンのないバスを使っていたが今年はエアコンバスまたは地下鉄に変え交通費が増大したという人が多い。また家庭内のジュースやアイスなどを切らさぬよう箱単位で買っていく人が増えているという。

人間だけでなく動物もこの猛暑に参っているというニュースを耳にした。通常、夏の動物園というのは動物達が力なくぐったりとしているのが普通だが、さすがにこの暑さに動物達も生存の危機を感じたのかそれぞれ暑さ対策をとっている。上海動物園では象が通常に増して鼻で必死に池の水を体にかけているというし、トラは体を水に付け頭だけを出してじっとしている。サルは池で泳いだり飛び込んだりと様々なパフォーマンスを繰り広げている。しかしこの動物園に一頭だけ暑さ対策のパフォーマンスもせず「グーグー」と寝ている動物がいる。

それはパンダである。

彼らの部屋には最近になりスタンド式のエアコン5台が設置され、パンダ達はそのエアコンの前で気持ちよさそうに熟睡しているという。「何という贅沢!!」。私も中国で様々なパンダを見てきたが、エアコンの前で寝ているパンダなど見たことがない。是非一度見てみたいものである。

最後にKONOKの場合だが、こんな猛暑にはビールでも飲みながら小姐とVCDを見るのが一番だが、こんな猛暑はあえて外出する。外灘で上海人と一緒に夜風にあたりうだるような暑さを体感。その後上海税関わきの生ビール屋のギンギン冷えたビールで喉を潤す。そして汗が出る前に帰宅しシャワーを浴び、冷たいライチをゆっくりと頂く。こんな上海酷暑の過ごし方もまた一興ではないだろうか。

(編集注:本稿は1998年7月に本サイトに掲載されました)


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