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「太太学習班 〜中国奥さま学習班〜」


 近年、開放改革政策によって経済的にも物質的にも豊かになった中国だが、それに伴い中国社会では様々な問題が出てきている。それらの問題に対し政府関係機関はいろいろ対策を講じているのだが、どこか観点がずれてしまっているというお話を1つ。

 「太太学習班!?」
 先日、「解放日報」を眺めているとこんな記事が飛び込んできた。学習会好きの中国人。また新手の学習会の登場である。

 学習会の対象は郷鎮企業の工場長や総経理の奥さん。
 開放改革前は夫婦共に日々土と向かい合い努力してきたが、改革後、その土を離れ郷鎮企業などで働き、現在そこで高い役職に就いている人は少なくない。ケースはいろいろあるのだが、夫だけが工場長や総経理として多忙な日々をおくり、奥さんは裕福になるにつれ家庭におさまり専業主婦になっているというケースが多いという。夫は開放改革の波にのりお金や権力を手に入た一方、奥さんはその波に取り残されたように未だに垢抜ず改革以前の雰囲気を引きずっている。夫はそんな奥さんに徐々に興味を失い、稼いだ金で家にも帰らず心の拠り所を求め外で遊び惚けるばかりか、その腐敗した精神が汚職や賄賂などの社会的問題を引き起こしているというのである。

 そこでこれら家庭・社会的問題を奥さんの原因と考えた「政府関係機関」が打ち出した対策が「奥さま学習班」なのである。内容は「教養やマナー」を身に付けてもらい垢抜けない雰囲気を一掃、「ナイスマダム」に変身させること。そしてなにより変身した新イメージにより夫の関心を呼び戻し、家庭を再び円満にすることによりこれら問題を乗り切ろうというものなのである。

 この奥さま勉強会。読者の方も感じたとは思うが、少し観点がおかしい。奥さんが礼儀やマナーを学ぶことは大変よいことであるが、それにより夫が奥さんを惚れ直し家庭に戻り再び平和な家庭が創られるなど、昔話のような話である。さらに夫の堕落を「家庭」(奥さん)の責任にするのはやりすぎである。一般的に言えば「衣食が十分なこと」と「私利欲」は因果関係にあるのである。当然、個人の道徳感が欠落していために起こる問題でありその時奥さんがどんなにしっかりマナーや礼儀学んでいも何の役にも立たないのではないか。

 一般論から言えばこのような学習会は開いてもその効果には多いに疑問だあると思うのだが、さて皆さんはどのようにお感じになっただろうか?

(編集注:本稿は1998年6月に本サイトに掲載されました)


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