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「MAY BRIDE ― 湖州青年結婚登記急増中 ―」


 5月は上海人にとって結婚の季節である。

 「どうして5月は上海人にとって結婚の季節なのか?」この問題に即答できるようであればあなたはかなりの中国通だが、さてお分かりになるだろうか?
(ヒントは5/8、5/18、5/28)

 5月の上海は賑やかである。街を歩いて感じた人もいると思うが、とにかく結婚式によく出くわす。黒色のベンツやアウディなど高級車に新郎、新婦の姿を見かける。中国の友人に聞いたところによると上海で結婚式から新婚生活準備等にかかる費用は約15万〜20万元といったところで、日本円で約230万〜300万円である。結婚する本人たちの収入から考えると、とてつもない値段だがやはり中国も結婚費用の大半は親が面倒を見るといったケースが多いようである。

 中国の場合は、結婚費用以外にも様々な困難が2人を待ち受けている。例えば、中国の公司(会社)には「文明単位」(Model Unit)というものがあるが、これが何かと彼らの門出の制約となるのだ。「文明単位」は外国人には馴染みが浅いかもしれないが、これは非常に重要な意味を持っている。一言で言えば中国社会におけるその会社の社会的信用度表示みたいなもので、これの有無が政府からの待遇を大きく左右すると言われており、「文明単位」を獲得、維持していくには相当な苦労が必要である。そして文明単位の会社では結婚の順番も決められているということなのである。

 その主要な理由は住宅問題だ。中国の公務員には結婚すると住居を賃貸される「分房制度」というのがあり、家族一人に約25u与えられることになる(地域によって異なる場合もある)。賃貸された住宅は月50元程度の家賃で使えるようになっており、それを他人に貸すことも可能というから大変便利である。しかし、この「分房制度」近年になりどうやら廃止される動きにあるようである。

 これは上海の郊外湖州の話。やはりここ湖州でも「分房制度」が廃止されることになり、未婚公務員たちがごぞって結婚登記所を訪れ、「分房制度」を受けているという。しかし中には知り合って一ヶ月足らずで結婚登記し、「分房制度」を受けるカップルもおり、やれやれ「家は愛より強し」の中国人。なかなか商魂拓しいといったところであろうか。「結婚=房子(發)」。なるほど最近結婚するカップルが多いという意味を新たに理解したKONOKでした。

《答 え》
 ヒントの5/8、5/18、5/28を上海語読みしてみて下さい。「5」は上海語の発音で「んご」つまり中国語の発音に直すと「我」の意味になり、「8」は皆さんご存知の通り「發」(ふぁ)なります。と言うことは、5/8は「我 發」(お金持ちになる)となり、5/18「我 要 發」(財を成す)となるし、5/28は「我 兩 發」(更に財を成す)という意味になります。中国語の場合、発音に関する言葉遊びが非常に多く、いろいろ調べてみるのも面白いと思います。

(編集注:本稿は1998年5月に本サイトに掲載されました)


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