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「イルミネーションin上海」

   「上海、そのイルミネーションは眩しいくらいに輝き、白昼の猥雑を隠し、その美なるものだけを照らしだす。」

 上海の夜とイルミネーション。上海の華やかなイメージを世界に知らしめたのもたぶんこの上海のイルミネーションであろう。上海を訪れた人の多くはそのイルミネーションに多さ、華やかさに驚く。東方明珠、外灘、南京路、淮海路などは夜の観光コースやデートコースとして有名であり、電灯等もきちんと管理され、夜の10:00過ぎまでそれを楽しむことができる。他にも美食通りとして有名な乍浦路、打浦路。道の両脇にレストランが並び、そのイルミネーションは深夜まで輝き夜の街「上海」を象徴している。

 更に上海では「国慶節」「春節」のナショナルホリデーや先日閉幕した「八運大」(第8回中国運動大会)等のイベント等が間近になると街のイルミネーションは更にその量、範囲を増す。例えば淮海東路、延安路、虹橋路、華山路などがそれである。道両脇の街路樹に飾り付けられたイルミネーションは季節外れのクリスマス飾りのような輝きを放っており、小姐と軽く飲んだ後はその道を二人で散歩するのも楽しい。

 その他にも中国では日本ではあまり使わないイルミネーションの使われ方がある。例えば、来滬する某国の大統領や政府の幹部の歓迎を意味するイルミネーションが道の両脇に灯る。このくらいならまだ可愛いものである。以前某邦人にこんな話を聞いたことがある。中国政府高官が来滬するため上海の発展イメージをどうしてもアピールしたい。そこで人のいなくなったオフィスビルまでにも明かりをつけるようにとの連絡があったというのだ。これは実に中国らしい。

 さてこのように、ことあるごにイルミネーションをつける中国だが、企業広告等を除いたイルミネーションの電気や電気代はどこから捻出されているかご存知だろうか?以前、市内ではよく「計画停電」ということが行われていて、二日前くらいに供電局から連絡があり停電をした。どうして停電するのかはっきりとはわからないが、どうも夜のイルミネーション用電気を溜めているという話を中国人から聞いたことがある。電気を溜められるものかどうか疑問もあるが、計画的に停電までして電気を調整するというのはすごい。

 また電気代の方だが、ある新聞によるとイルミネーション用に25ワットの電球を30万個、3時間使用した場合には225万度の電気を使用したことになる。一度が0.746元/度なので単純に計算しても一日(3H)で1,678,500元もの電気代が発生していることになる。去年一年間だけでも、上海では「香港回帰」「第15回人民代」「8運会」などのイベントで多額の電気代がかかっている。しかしそれらのイベントで回収できた電気代とは僅かに10,933元である。それ以外の費用は基本的にどこからも支払われることはなく、「国家イベント」という大義名分のもとで供電局が涙を飲んでいると新聞には書いてあった。本当にそうなのか?あやしい…。

 やはりこんな場合は供電局であろうと「政策に対策あり」の精神でこの電気代をどこからか捻出しているはずである。

(編集注:本稿は1998年5月に本サイトに掲載されました)


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