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「風水」

 最近、何かと話題の「風水」。

 中国(上海)でも私たちの知らないところいろいろ騒がれているようです。例えば「滬嘉高速道路」。上海から嘉定に向かうこの道はひたすら真っ直ぐに伸びており、走り始めてしばらくすると嘉定の税関を目標に走ることになります。ところがこの目標が風水からいわせるとあまり良くないそうなのです。風水で見るとこの建物がお墓の入口のように見え、さらにポッカリ口を開けているように見えるそうです。また、その後方の別荘も墓の中の墓石のように見えるそうです(もし住んでおられる方がいらしたらすみません)。日本人の我々にはあまり気の付かないところで「風水」は中国文化に根づいているようです。

 何人かの中国の友人に確認したところ、建築物やその室内等で明らかにその入口、エレベーターの向き、窓の位置等が不自然な作りがされている場合は、何らかの関係で「風水」を意識した作りになっているそうです。

 と、ここまで説明してきましたが、そもそもこの「風水」とは何なのでしょうか?簡単に説明しましょう。

 もともとは古来中国に伝わる学問の一種で、一言でいうと「環境学」のようなものです。風水の本質は、「風」をあやつり「気」の流れを用いることにより、運気を上げるというものです。 家・建物の向きや位置、部屋のインテリアなどで気の善し悪しを判断し、それを改善してゆくのです。一流の風水師となると、その人物の運命を予言することも出来るそうです。

 中国にはこんな言葉もあります。
  「一命、二運、三風水、四積陰徳、五読書」
人生を左右する一番の要素は、生を受けたときです。そして次に重要なのが運命(運勢)です。そしてその次にくるのが、この「風水学」ということです。ちなみに、四番目の積陰徳とは「隠れて良いことをする」ということです。いわゆる一日一膳ってやつですね。そして最後に来るのが読書(勉強)ということです。

 このように神秘的な学問「風水」ですが、現代中国では無産階級的世界観、論理性に欠け非科学的である等の理由から学問として扱われることは少なく、わずか広東省のある高校でのみ授業として開設されているそうです。

 中国の素晴らしい文化だけにこれから見直されることを期待したいと思います。

(編集注:本稿は1998年4月に本サイトに掲載されました)


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