天津そぞろある記17:エクスプロア天津
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Root No.17
万全道
・万全道
・(おまけの)水煮魚
12月に入り、天津もだいぶ寒くなってきました。といっても本日の最低気温は−2度。まだ道端に吐き捨てられた痰が凍ってテカテカになっている程度で、川にぶ厚い氷が張るのはもう少し先の話です。天津で最も冷え込みがきついのはクリスマスのあたりから新暦の小正月ごろにかけて。そのころになると、空気がピキピキとなって寒いというより耳とか鼻とか肌が露出した部分がジンジン痛くなります。そんなオソロシイ冬が来る前にさくさくっとそぞろ歩いてきました。今回は前回の予告(貴州路)をまったく無視して「万全道」です。

万全道

上の写真は万全道の案内板です。前回歩いた成都道やその他の通りの立派な案内板に比べて見劣りしている上、道の名前の部分の塗装が剥がれ落ちてしまっていて、かろうじて道の名前が分かるようになっています。万全道、名前は万全でも案内板は不十分とは皮肉なものです。が、それも仕方のないことで、この道は地図にも載るか載らないかというほど細く短い通りなのです。

万全道は、以前に紹介した鞍山道(Root No.5)の西側に位置し、それと並行するように北東から南西に向かって伸びている通りです。北東の端は河北路と、南西の端は新興路と交わっています。地図で見ても非常に小さな通りであることが分かりますが、実際に歩いてみると道幅がもっと狭く感じます。ゴミゴミしていますが、古い町並みを残しているなかなか素敵な通りです。

天津市内の多くの通りとその通り沿いの建物が開発の名のもとに拆(ちゃい)され、つまり、取り壊されて、その代わりに幅の広い道路が敷かれ、その両脇には真新しい建物が建てられています。かつては大きなポプラの並木があってこの季節になると道の両脇に大きな葉っぱがたくさん落ちていたあの通りも、羊肉串(シシカバブ)の露店が建ち並び朝から晩まで串を焼く白い煙が立ち込めていたあの通りも、今は全部同じ道幅に舗装され、白色やら薄ピンク色やらの無表情な高層建物がつんとすましたように立っています。景観が整然となり、交通渋滞も緩和され、便利になっていることは確かですが、どの通りも特徴がなく、同じような風景になってしまっています。長い歴史によってつくられたその道の表情・個性をもっと大事にしてほしい、そんなふうに思うことしばしばです。

その点、万全道はとても表情豊かな個性のある通りです。古き良き中国、天津の雰囲気をそのまま残していると言えます。なおこの通りは、終戦前までは日本租界のほぼ中心に位置しており、当時租界に住んでいた日本人は「伏見街」と呼んでいたそうです。


突き当たりの河北路から少し歩いて振り返ったところ
後ろ中央にそびえる薄ピンク色の建物は百貨大楼(Root No.5)


通り沿いには赤茶色のレンガ造りの建物が並んでいます
樹木が通行お構いなしに伸び放題。夏は緑のアーチができます


天津では古いアパートでも4、5階建てのものが多い中で
万全道沿いには2階建てのものが目立っています


万全道沿いのとある駐輪場
この自転車の数は中国というより天津ならではです


日本で言うところの、タバコ屋さん
タバコだけでなくお菓子、雑貨、いろいろ売っています


こちらもタバコ屋さん
ちょっと気になったのがあの黄色いお菓子の袋
袋ごと買うのでしょうか? それとも量り売り?


白菜の買い置き
冬を迎える時、保存の効く白菜をたくさん買い込んで
家の前にストックしておくのは天津人の古くからの知恵
天津の冬の風物詩ともいえます


「煤」は石炭の意味で、「煤炭」とも言います
冬になると売られるこちらも天津の冬の風物詩の一つ


「煤」は写真のような円柱形のものが一般的です
これに火を入れてやかんでお湯を沸かしている
おじいちゃんをよく見かけます


こちらは胡桃やヒマワリの種、ドライフルーツなどの店
ヒマワリの種を片手だけで食べられるようになったら一人前です


お昼時、万全道沿いの小吃屋さんが賑わいます
こちらは清真、つまりイスラムの餃子屋さん
看板にも「牛肉焼」と明記しています


中国では御馴染みの茶鶏蛋こと味付ゆでたまご
個人的には牛肉麺にのせて食べるのが好きです

「とれぴち」

Illust & Text by KEYOU... http://keyou.at.infoseek.co.jp/
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