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上海のオールドホテルを巡る その3
  

衡山賓館
Hengshan Hotel



 徐家匯から徐家匯公園の橋を斜めに横切ったところにそびえてくるのが衡山賓館だ。最近2002年に大改装が行われて見違えるように綺麗になった。上海の6大オールドホテルのうちの一つでもある。建設された当時はピカディー公寓と呼ばれたが、外国人が多く住んでいたところから万国公寓とも呼ばれていた。


 衡山路といえば、「上海のシャンゼリゼ通り」と呼ばれている。この通りには1000mあまりにわたってアオギリが植えられていて、その樹齢からこの通りの歴史の長さを振り返ることができる。ちょっとお洒落なカフェやレストランなどもこの通りにはよく見られる。もともとこの通りは、租界地時代にはフランスの第2次世界大戦中の英雄の名前をとってペタン路と呼ばれていた。その衡山路と宛平路との複雑な交差点の角にピカディー公寓は位置する。

 1934年に竣工したピカディー公寓はフランス系の設計事務所、フランス系の建築会社によって建築された。このピカディー公寓は万国貯蓄会による投資だ。

 実は上海には万国貯蓄会によって投資された建築物が数多い。ではこの万国貯蓄会とはどういう組織なのだろう?

 

エントランス
 1900年代の初め、フランス人パントンが上海を訪れる。そこであるとき、知り合った中国人唐伯超と一攫千金への道はないかと知恵を絞りあう。アヘンの煙に巻かれながら、いろいろ考えを巡らせた結果思いついたのが、銀行をはじめようということだった。といっても、彼らにはそのような資金はない。そこで、一般庶民がお金を貯金できる小さな会社を作ろうということになった。そして預金に対して抽選でさまざまな景品が当たるようにして、お金を集めていこうということだった。

 パントンはさらにブランデーや香水を営んでいるフランス人の友人など2人を引き込み、まずは4人で始めることになった。さらに、上海のフランス租界当局のお墨付きも獲得した。後にはフランス政府に対しても会社を登録している。

 万国貯蓄会が開業したのが1912年。預金者は毎月6元ずつ預金すると、15年後には5000元になると約束し、さらに毎月12元ずつ預金して2000元になれば、毎月豪華な車や家があたる抽選が行われ、預金者を獲得していった。記録によれば、15年間の間に180回の抽選が行われ、そのチャンスの多さからサラリーマンから出稼ぎ労働者まで多くの預金者が集まってきたという。預金額は日に日に増大し、一時期は全上海の銀行の預金高の22%を占めるにまで成長した。銀行より圧倒的によい利息とさまざまな豪華景品が、狙い通り人々をひき付けたのであった。

 万国貯蓄会はその潤沢な資金をもとにさまざまな分野に進出していく。ドッグレースやサッカー博打などがそうだ。そして1930年代上海で巻き起こった不動産投資ブームに乗って、万国貯蓄会は不動産に投資を進めていく。今も残っている淮海中路×重慶南路の角にある現在の「婦女用品商店」が入っている建築物、淮海中路にあるノルマンディ公寓などもその一つだ。その中でもピカディー公寓は最も規模の大きい、完成された建築物とも言われていた。


 ピカディー公寓は外壁などに装飾がほとんど見られない非常にシンプルな典型的な近代建築様式。壁にタイルすらほとんど使われていない。最も高いところで15階建て、その両となりに13階、12階、10階、9階の建築物が階段状につながっている。建築総面積は24456平方メートル、上部から見ると建物全体が八角形のデザインをしている。ひとつひとつの建築物をみると華奢に感じるが、全体ではかなりボリュームが大きい。

 内部のレイアウトは多種多様で、2LDKから5LDKまであり、パントリーやダイニングのほかにもダイニング準備室なども完備されていた。かなり高級なマンションであったといえよう。エントランスの前は、いまは駐車場となっているが、その当時は緑がふんだんに植えられ、大通りの喧騒を掻き消す役目があった。

 1960年代にホテルとなり、1980年代から衡山賓館として使われている。2002年に大改装が行われ、現在は部屋数210室あまりの4つ星ホテルとなっている。
 

 衡山賓館の前には、衡山公園がある。この公園は1929年に作られた公園で、その当時はペタン公園とも呼ばれた。ここは昔はフランス租界地専用の公園だった。衡山賓館まで来ることがあれば、ぜひ衡山路を東に向かって歩いてほしい。少し歩いたところに大きな十字架が目に入る。ここが国際礼拝堂だ。1925年に建築されたイギリス建築様式の教会だ。今でも日曜日になると日曜礼拝が行われている。改革解放後の1985年に上海で初めて開店した個人経営による喫茶店も衡山路1号にある。そしてさまざまな様式のバーが集まっているのも衡山路の特徴の一つだ。最近、上海で観光やグルメのスポットができてきたが、衡山路の風格は相変わらず健在だ。

(文・写真 山之内 淳中医ドットコム


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衡山賓館

上海衡山路534号地図
TEL:
021-64377050 Fax:021-64372380
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