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中国伝統医学の不思議


                 44 上海中医博物館

  

 久しぶりに中医沙龍を復活させることになりました。このページでは、少しでも中国伝統医学について皆様に親しみを持っていただけるように、いろいろご紹介していきたいと思っています。今後ともよろしくお願い申し上げます。


  さて、復活第一弾は、最近上海でOPENした上海中医博物館についてご紹介しようと思います。なかなか立派な博物館ですので、上海にいらした際はぜひ覗いていかれることをお勧めします。

 

(博物館建物全景)

 私の母校である上海中医薬大学が、街のど真ん中であった徐家匯からはるか浦東に引越しをしてしまい、今の新校舎にはまったく馴染みがないのですが、先日久しぶりに訪れたら非常に立派なキャンパスに出来上がり驚きました。今、上海の大学ではキャンパスの整備が着々と進み、私が本サイトで「我是大学生」の連載を書いていたころと比べると、雲泥の差です。90年代半ばとは言え、この数年の上海の変化は驚く限りです。

(これが上海中医薬大学の新キャンパス)

1.上海中医博物館について

 上海中医薬大学では、徐家匯にキャンパスがあったときも附属博物館を持っていました。しかし、図書館の建物のなかに併設されたもので、雰囲気が暗く、お世辞にも見たいと思わせるような博物館ではありませんでした。そこで2004年にキャンパスが浦東新区の張江ハイテクパークにうつったのを契機に、中国で始めての中医学を専門にした独立した博物館が設置されました。他の地区の中医大学でも附属博物館を持っているところは多いですが、上海中医博物館のように大規模に独立した博物館を持っているところは今のところありません。

 この博物館プロジェクトは、上海市政府の2004年度の重要事業の一つでもあり、建築面積6413平方メートル、展示面積4000平方メートル、投資総額2400万元のビッグプロジェクトです。14000点の展示物は、それぞれ中医文化・鍼灸推拿・養生康復(リハビリ)・中薬方剤・中薬標本に分かれていて、さらに上海中医薬大学の歴史についても知ることができるようになっています。

 

2.いろいろと工夫がいっぱいの博物館

 まず、入り口から中にはいると、正面に大きく「気」の字が目に入ります。そして、中医学の長い歴史を彫刻入りの回廊で示し、その周りに「木・火・土・金・水」の五行説と、陰陽の移り変わりを現しています。 一階に入ったその瞬間に、中医学の一種神秘的な雰囲気に包まれます。

 ここではまず古代人が疾病に苦しみ、そして試行錯誤しながら治療にかかわってきたさまざまな道具を見ることができます。

 

 二階には鍼灸・推拿に関係する医療器具の歴史、中医学の養生訓、そして歴代の名医たちが残したさまざまな処方を見ることができます。鍼灸では、動物の骨や石で作られた針から、現在の金属の針に至るまでその変遷をみることができます。特に、このコーナーにある女性の鍼灸銅人『銅人明堂図』は非常に貴重で、この博物館の中でも宝とされているものです。

 また、太平天国の乱で登場する林則徐が服用した「禁煙の処方」も展示されていました。当時の医師は、病気を治療させるだけでなく、文化人としての要素も非常に大切にされました。そのため、達筆な筆遣いで書かれた生薬の処方は、額に保存され、今日まで残っているのです。

 昔の人は、煎じた生薬や錠剤を瓢箪にいれて保存しました。そのため、瓢箪に関係のある展示物が少なくありません。さらに、秦代に使われた下水管、漢代の古墳から出土した生薬、そしてさまざまな時代の医書など興味が尽きません。

 中医学といえば、脈と舌の診断は欠かすことができませんが、この階には、16種の代表的な脈を実際に体験できる機器や、自分の脈をコンピューターを通じて測定する機器もあり、見るだけでなく体験もできるようになっています。

 

 3階は主に生薬の展示です。ここでは、身の回りのあらゆるものが薬として使われていることが良く分かります。生薬は実に美しいものです。植物の根は茎はもちろん、花や実、種まで何でも薬になってしまいます。さらに中薬といっても、なにも薬草だけが使われているわけではありません。鉱物もありますし、亀の甲羅や動物の化石などその数は非常に沢山あります。鉱物などはその美しい色を見ているとまるで宝石を見ているようです。日ごろ、めったに目にしない生薬とそのルーツについて、このコーナーではじっくりと見ることができます。 その多くは、先人たちが経験をもとに積み重ねてきて継承されたものばかりです。

 また、最近増えてきている「中成薬」と呼ばれるさまざまな種類の中医薬も展示されています。エキス剤やカプセル、塗り薬など科学の発展にしたがって、中医薬も変化してきていることがよく分かります。

                  中薬で使われる鉱物
 日ごろよく耳する「中医学」という言葉ですが、実際にはなかなか馴染み深いものではありません。しかし、これらの展示物を見ていると、それらは実に身近で親しみやすいものであるこを改めて実感することができます。

(写真・文 写真は許可を得て撮影 藤田 康介

 

                     上海中医博物館

  住所:浦東新区張江ハイテクパーク 蔡倫路1200号 

  電話:021−51322712    月曜日休館  9:00から16:00まで

  最寄り駅:地下鉄2号線張江ハイテクパーク駅(終点)下車。 そこからタクシーを使って上海中医薬大学に行くのが便利。タクシーは初乗り料金でOK。

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