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第40回 青年海外協力隊活動を終えて その2
~5.12四川大地震回想録~

19年度3次隊 四川省徳陽市 第五人民病院 理学療法士 松井真也


2008年5月14日
<地震3日目>

 今日は昨日の雨も上がり、少し暖かく感じる。昨晩はマスコミの対応もなく、割とゆっくり休むことができた。
 病院内には数十名もの学生ボランティアが活動していた。彼らは患者を運んだり、ごみの片付けをしたりととても精力的に活動していた。私の親友もボランティアで隣の綿竹市へ行った。彼の話によると、市内の銀行の建物が崩壊し、生き埋めになった同僚を救助するのが目的だそうだ。少し離れた場所では建物の崩壊があるようだ。そう考えるとすごく恐ろしくなってくる。
 昨日までパンやカップラーメンばかり食べていたが、今日から炊き出しが始まった。温かくて美味しい炊き出しに感激した。
 病院内は連日多くの人でごった返し、もちろんゴミも多く出る。そんな中で朝早くから夜遅くまで働いている清掃スタッフには頭が下がる。

2008年5月15日
<地震4日目>

 今日は昨日の肌寒さが嘘のように暑い。JICA関係者や日本国大使館関係者の方が德陽に視察しに来られた。その際には私の知る街周辺の様子や病院の現状を伝えた。
 地震以降、リハビリ科では通常業務は停止し、運ばれてきた怪我人をストレッチャーに移したり、ベッドを運んだり、医療薬品を運んだり、患者やその家族に炊き出しを配ったり、マスコミ対応をしたりしていた。今日は基本的に手がすいて、ちょっとした雑用をしたりしている。今は直接治療に関わることはないが、でもやっぱり何かしたい!何かできる!何かしなければ!そんなことを葛藤しながら、院内を見て回った。居ても立ってもじっとして居られなかった。
今後私ができるとしたら骨折など怪我をした患者のリハビリ的ケアである。怪我の影響が少しでも残らないように、そして少しでも早く愛する家族や住み慣れた家に帰れるように…。まさにこれはリハビリ業務を担っている治療者の与えられた重大な任務であると感じていた。
 同僚の話によると明日から通常業務が始まるようで、そのための準備を行った。屋外テントにいた患者も少しずつ病棟へ戻っている。また河北省から医師・看護師の医療チームが到着し、病院内も少しずつ落ち着いてきた。

2008年5月16日
<地震5日目>

 今日も昨日の暑さが続く。親友が綿竹から戻ってきた。彼の話によると綿竹の一部では多くの建物が崩壊し、彼の同僚160名くらいの死者が出たとのことであった。2晩ほとんど寝ずに救助に当たって帰ってきた彼はぐったりとしてすごく疲れた様子であったが、現地の悲惨さを必死に語っていた。

2008年5月17日
<地震6日目~北京へ~>

 今日も相変わらず暑い。JICA関係者の方が私を迎えに来てくれた。どうやら今後の健康管理のため北京に一旦退避する予定だ。心の奥底にはここに残って活動をしたいという気持ちも少なからずあったが、こればかりは仕方なかった。上京する主旨を院長や同僚に伝えたが、後ろ髪を引かれる思いで残念で申し訳なかった。
 成都へ行く途中の高速道路では、救援物資を送るであろう多くの軍用車とすれ違った。私も早く德陽に戻って活動したいと胸に誓った。

地震のその後
<北京で>

 北京に一旦上京してからは、頻繁に同僚と連絡を取った。彼らの話によると、街中にテントが張り巡らされ、毎日頻繁に発生する余震に怯えながら、テントで寝泊りしているとのことだった。北京に滞在してもじっとしていられず、何か歯がゆかった。そこで市内の書店に行き、数多くの症例が予想される整形外科術後のリハビリテーションに関する書物を購入したり、中国リハビリセンターに行って文献を探したりした。

<四川に戻って>
 6月初旬に德陽へ戻ってからは患者の数は激増した。初めて経験する四川の蒸し暑い真夏の7月・8月に、汗をダラダラ掻きながら毎日数多くの患者のリハビリを手伝っていたことを思い出す。当時の担当患者は1年半経った今でも時々近況報告にリハビリ科に訪れ、昔話のように地震の時の様子について語ります。

<最後に>
 今回の震災で中国国内ではリハビリに対しての注目度が増していると感じる。私自身もこの地震に関係した出張が増えたり、取材される機会が増えた。また今回の地震をきっかけに数多くの患者のリハビリに関われたと同時に、数多くの患者の切実な訴えを聞いてきた。今後の生活の不安、治療に対する不安など被災者は多くの問題を抱えている。今私に何ができるのか…、そんなことを思いながら数ヶ月があっという間に過ぎたように感じる。地震後数ヶ月は目の前の患者のリハビリで手一杯だったが、1年半経ってスタッフや患者・家族などと冗談を交わしつつ、丁寧に患者と向き合う私がいる。



提供: JICA
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