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■■第26回 インターネットテレビ電話で日中の大学生交流授業!■■
18年度3次隊 貴州大学 日本語教師 市原明日香

「先生、貴州省は内陸部なので、日本人がいません。私たちは日本語学部の学生で、毎日一生懸命日本語を勉強していますが、でも、日本人と、交流する機会がありません。日本語会話を、上達するために、どうすればいい…と、思いますか」
2年前、日本語教師として赴任して初めて教室に行った時、学生たちが真剣な表情で私に言った言葉だ。たしかに貴州省という地名すらも日本人にはなじみが薄いし、省都に住む日本人も両手の指で数えられるほど。それも彼らと同世代の若者がいない。こんな環境で、なんとかして日本の大学生たちと対話できる交流の場を作れれば、学習意欲も日本への理解ももっと深まるだろう…と思いながら教壇に立っていた。
チャンスは貴州大学文化祭に訪れた。日本の慶応大学の加茂先生がはるばる貴州まで講演に来てくださったのだ。日本語学部以外からの学生も大勢駆けつけ、熱心に耳を傾け、「日本の大学生はどのような生活を送っているのですか?」「日本の大学生は中国の何に興味を持っていますか?」といった質問が引きもきらず、時間を延長するほど盛り上がった。
講演終了後、加茂先生から申し出があった。「私のゼミの学生は中国の政治、経済、社会を専門としていますが、北京や上海などの沿岸部に行ったことのある者は多くても、西南地域や内陸部を実際に知る学生がほとんどいないのです。沿岸部の経験だけでは中国を解ったとは言えない。中国を多面的に理解するにはそれでは不十分です。ここで青年海外協力隊として働いているあなたの話に興味があります。帰国後に講義しに来てくれませんか」。私は、「それなら、インターネットを使って出来るかもしれません。学生同士の交流会もやりましょう!」と即答した。
2008年12月、貴州大学LL教室のパソコンにインターネットカメラを取り付け、慶応大学総合政策学部加茂ゼミとの交流授業が実現した。
加茂ゼミ学生10名と、貴州大学日本語学部2,3年生のうち40名が参加し、1時間ほど自由に会話をさせる。学生たちは初めて同世代の日本人と話ができる!と興奮した。最初は緊張の面持ちだった学生も、日本側に中国語ができる学生がいて喜び、日本側学生も彼らの日本語力に驚き、日中双方の大学生の間に親近感が増していく。中国語と日本語を交えてインターネット画面を食い入るように見つめて話している者、アニメや芸能人の話に盛り上がる者、教科書どおりの日本語が伝わって感激する者、誰もが生き生きと話している。日本語教師としてこれ以上の喜びはない。
日「貴州省はどんなところですか?」
中「貴州省はまずい、所、ですが…」
私「まずい、じゃなくて、まずしい?」
日中「あははは!」
中「あのドラマ(日本の現在放映中の)今日が最終回ですね」
日「おぉ~よく知ってるね!」
中「今朝は何時に起きましたか?」
日「11時」
中「遅いですね!私たちは6時半に起きて、音読をして、8時から授業です。毎日ですよ!」
日「ええ~!!」
日本側学生たちにとっても初めての試みで、直接こちらの学生と話しているうちに、日頃中国について勉強していて、貴州は「貧しい省」というイメージしかなかったのが、その固定概念が消える刺激的な体験だったそうだ。「楽しかった」「意義深かった」「日本語や日本に対する関心の強さに大変驚かされた」「画期的だった」「是非またやりたい」という感想をいただいた。貴州大学の上司たちも見学に来て、こんなことができるのかと画期的な交流方法を知って喜ばれていたので、今後もこの草の根の交流を積み重ねていけそうだ。
言葉はコミュニケーションの道具、コミュニケーションはなによりの学びだろう。日本の大学生と直接話ができたという体験は、学生たちの自信につながった。また、たとえ将来日本語を使う機会がない者にとっても、きっと忘れられない思い出になっただろうと思う。
(2009年3月)
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