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第十四回  健康に暮らす~ 自分なりのスタンダードをもつ~
(上海森茂診療所 竹岡 和宏主任医師)


上海は2度目の赴任となる竹岡医師

近代化が目覚ましい中国、これは医療の面でも例外ではない。特に上海などの大都市ではホテル並みのサービスや最先端機器を備えている病院も少なくなく、以前に比べ、患者として安心度はぐっと高まった。しかし、病院の実情はこの外見が示す通りなのだろうか?森茂診療所の竹岡主任医師に話を聞いた。

○スポーツには恵まれた環境?

わいん : 先生は日本でも上海でもキャリアが長いですよね。日本と上海と比較して患者さんに何か違いはありますか?
竹岡医師 やはり日本人駐在員の方が多く来院されるからだと思いますが、日本に比べて年齢層が若いです。日本では現在内科の患者さんの多くが老人になっていますから。
わいん : 愁訴の面ではどうですか?
竹岡医師 そこには大きな違いはありませんね。風邪や腹痛といった病気から、高血圧や糖尿病などの慢性疾患まで。そういった意味では年齢層が若いわりには慢性疾患が若干多いと言えるかもしれません。
わいん : 慢性疾患はやはり運動不足からくるのでしょうか。上海では運動できないとよく言われますもんね。
竹岡医師いえ、そうとも限りませんよ。慢性疾患は長年の生活習慣で蓄積されてしまうものですから。こちらではスポーツ施設付きのマンションに暮らしている方や、時間的余裕のある方もいらっしゃるので、むしろ日本よりスポーツをする環境に恵まれている方もいると思います。
わいん :なるほど。
竹岡医師: もちろん人それぞれですが、そのような環境にあったら大いに利用して運動すべきだと思いますね。


○良い病院の見分け方は

わいん: 中国も最近は医学が発達し、施設自体も非常に近代化されているようですが、見かけだけではわからないことも多いですよね。病院はきれいでも医療技術はどうかとか。
竹岡医師 そうですね。ある意味日本よりもずっと進んだ設備を入れているところもあります。ただやはり対応面や精密さの面では遅れている点があるのは否めませんね。また「命」に対する見方が日本と少し違うように感じます。
わいん: いい病院、悪い?病院、見分ける手段というのはあるのでしょうか。
竹岡医師: 病院というよりも、医師やスタッフを見るべきではないでしょうか。病院全体としてはよくても、自分がかかる担当の医師のレベルが低い、ということもあります。もちろんその逆もあります。
わいん: 確かに。患者から見て医師のレベルというのはわかりますか。
竹岡医師:  いろいろあるのですが一番簡単な見方は内科でしたら聴診器です。聴診器を使用する場合はまずその使い方をよく見てください。服の上から聴診器をあてては、心音、呼吸音は聞けません。こういう医師は形式として心音を聞くパフォーマンスをしているだけと考えてよいでしょう。儀式のようなものです。
わいん: そうなんですか。
竹岡医師: 聴診器というのは非常に微妙な装置で、当て方によっても聞こえる音が違うなど、繊細なものなんです。服の上からあててきちんと聞きとれるわけがありません。
わいん: なるほど。
竹岡医師: それから病歴をちゃんと聞いてくるかどうか。もちろん問診票には書いていただきますが、現在の症状を診るだけでなく、過去にかかった病気をとの関連性をきちんと判断材料にしている医師かどうか、よく見てください。 今日の状態を診断するだけでなく、患者さんの全体像を把握する意識が医師にあるかどうかです。
この二つをスタンダードとして心に留めておき、医師を観察すると良いと思います。病院全体を判断することは難しいですが、少なくとも自分がかかる医師を見極める基準をもっておけば安心です。

○上手なかかり方

わいん: わかりました。それじゃ視点を変えて、患者として上手な病院のかかり方というのはあるんでしょうか。
竹岡医師: そうですね。病院側として患者さんにお願いしたのは、ぜひとも症状を詳しくおしえていただきたいということです。「風邪」とか「便秘」などといわず、どんな症状が、いつから、どんなふうに続いているのか教えていただくと助かります。決して細かい症状を省略せずに教えてください。
わいん: あー自分で勝手に判断しない。ということですね。
竹岡医師: そうですね。それが時には命にかかわることもありますし、現にそういった事例は日本でもあります。ですから、できるだけ実際の症状を忠実に教えていただきたいのです。
わいん: そうすると言葉の問題もかなりありますね。微妙なニュアンスを伝えるというのは難しいですよね。
竹岡医師: そうです。ですから当院では本当に急を要する場合は別として、入院が必要な場合、時間的に待てるなら日本で入院する手続きをするように勧めています。
わいん: 薬はどうでしょう?よく日本とは薬事法が違うとか、偽物が混じっていた、などと言われますが…。
竹岡医師: そうですね。そういう問題もないとは言えないので、患者さんの中には「日本の薬を」と希望される方がいらっしゃいます。中国の法律では日本の薬は輸入できませんので、やはり重篤な場合は帰国して入院されることをお勧めしています。



編集後記:

技術的な面については素人の筆者にはわからないのだが、やはり「支払い先行」型といわれる中国の病院。緊急となったときにどのような対応をされるのか不安も大きい。いざというときには、当事者は落ち着いた判断ができないもの。今回竹岡医師から教えていただいた基準を参考に、日ごろから自分なりのスタンダードをもって頼れる医師を確認しておくとよいかもしれない。

(玉乃わいん)

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