■■第一回 健康に暮らす~本物を知ることがあなたを守る~■■
中国茶芸技師・評茶技師 佐藤文文
わいん:こんにちは。佐藤さんは当サイトで「中国茶道体験記」を長期連載してくださっていてご存知の方も多いと思います。今は中国茶を広める活動をされているんですね。
佐藤さん:2004年から上海ガーデンプラザにて2005年から東櫻花苑にて日本人の奥様方と中国茶交流をさせていただいています。
○お茶と農薬の関係
わいん:さっそくなのですが、今回「中国を健康に生き抜く」というテーマでいろいろな方面から専門家の方にインタビューをしているわけですが、お茶も、残留農薬が気になる食品の一つですよね。
佐藤さん:そうですね、生産量をあげるために農薬を多量に使った低品質・安価なものは怖いですね。
わいん:素人がともかく少しでも残留農薬のない茶葉を買おうとすると、どうやって見分ければいいんでしょう?
佐藤さん:まず、海抜の高いところほど農薬を使う必要性が低いです、高山茶が尊ばれるのはそのためですね。標高が高いところは虫が少ないですから。それから春茶も最低限の農薬ですみます。逆に中国人は夏茶を飲みません。
○「春茶」がお勧め
わいん:「春茶」とは…?
佐藤さん:お茶は摘む時期により春茶(立春から5月末)、夏茶(6~7月中旬)、秋茶があります。緑茶は烏龍茶などと違って比較的低地でも作られるのですが、春茶の中でも4月5日の清明節前に摘み製造したものを「明前茶」と呼びます。冬の間に栄養をしっかり蓄え、春一番に摘んだ芽はふっくらとし、品質良く価格も高い緑茶になります。
わいん:冬場は虫が冬眠しているから…
佐藤さん:そう、最小限の農薬ですむのです。
わいん:どれが緑茶の中で「明前茶」なのかはどうすればわかるんですか?
佐藤さん:少なくとも4月5日清明節前に売られているものは春茶ですね。
わいん:でも、その前の年の夏茶の売れ残りってことはないんですか?
佐藤さん:夏茶は渋みと苦味が強いのでわかりやすいです。
わいん:試飲すればよいのですね?
佐藤さん:試飲はもちろん必要ですが、確実にわかるとは限りません。あちらも販売のプロですから、試飲の際にはお茶を薄めに香を主に引き出す淹れ方をしてお客さんに飲ませることがあります。薄めにいれると苦味は出にくいです。しかし、知識を得て茶殻を見ていればだんだんわかるようになります。試飲の後は茶殻まで見ましょう。評茶師になったつもりで茶殻の色や形を見たり直接指の一番敏感な部分(指の腹)で触ったりなさってみて下さい、もしかしてこの人は茶葉の良し悪しが見分けられる??とお茶屋さんにプレッシャーをかけるのもひとつの手です。
わいん:なるほど。
○自分の舌を養う
佐藤さん:いずれにしろ、本当の味を知ることがとても大切です。いいものを知ることで悪いものを見分けることができるようになります。自分の舌で「本物」と「そうでないもの」を分別できる・・、遠いようでそれが最も近道で信頼できる方法だと思います。
わいん:舌ですか。
佐藤さん:また、日頃の食生活も大事ですね。今の上海で安くて良いものを捜すのは非常に難しくなりました。良いものにはコストがかかります。たとえば外食を楽しむ場合は、頻度を減らしても高くてもきちんとしたものを召し上がったほうよいのではないでしょうか。
わいん:きちんとしたものを。
佐藤さん:調味料でごまかされたものばかり食べていると味覚が衰え、本物の味がわからなくなります。
わいん:確かにそうですね。化学調味料に慣れるとちゃんと出汁をとった味噌汁が物足りなく思えてきたり…
佐藤さん:そうなんです。
わいん:食べ物はまだしも、お茶に関して「本物」が分かるようになるには時間がかかりそうですね。
佐藤さん:良質のお茶を飲んで味覚や嗅覚を鍛える練習をすれば皆さん数ヶ月でわかるようになられます。また、良いお茶はお金のあるところに集まると言われています、中国で一番良いお茶は最も高値で売れる北京に行ってしまうのですが、上海のお茶市場にも中の上以上でなかなか良いものが豊富にそろっていますので色々試してみて下さい。
わいん:そうですね、試してみます。
佐藤さん:近年中国でも農薬問題には大変な関心がよせられ、お茶を含む食品には『無公害食品』、『緑色食品』『有機食品』の3つの規格に分類されて、政府主導で食の安全に配慮されるようになりました。私自身産地に行ってこの環境なら安心というところも数多く見てきました。また、女性に人気のある鳳凰単叢の産地、広東省潮州市鳳凰鎮は中国科学院により無公害烏龍茶のモデル産地として認定されたと聞いていますし、成人病予防に効果が期待できるプーアール茶の産地では『雲南省農薬管理条例』を施行しているそうです。しかし、なんといっても最後に信じられるのは自分の目と鼻と舌です、ぜひ日頃から品質の良いものを飲んで食べて味覚を含む五感を鍛えて下さい。またペットボトルのお茶は酸化防止のために使う食品添加物等が気になりますから、やはり自分で淹れた美味しいお茶が一番安心です。
わいん:ありがとうございました。
(2010年7月7日記 玉乃わいん)
編集後記:
佐藤さんは「中国茶道体験記」の連載を始められてから、きちんとした知識を習得したいと考えられて上海の職業訓練学校に長年通われ、その他北京や杭州にも短期留学されたという経歴の持ち主。初めは上海語で行われた授業に戸惑いながらも、同級生の助けもあって徐々に慣れていき、今では生涯の友とよべる茶友もいるとか。本気になれば、言葉の壁も乗り越えられるもだという見本のような方です。ちなみに、日本茶道・華道の資格もお持ちで、興味を持ったらとことん打ち込むというご性分なのかもしれませんね。