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第5回 上海博物館

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正面玄関
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重厚な建物が立ち並ぶ人民広場において、一際目を引くのが円形の建物が印象的な上海博物館である。余りに有名なこの博物館の中の博物館については今更解説の必要も無いことだろう。しかし年も改まった今、再び新たな気持ちで訪れてみた。
上海博物館は1952年に開館した中国古代芸術の総合博物館だ。開館当時は南京西路325号の旧●(=足ヘンに包)馬総会跡地に位置していたが、その後1959年に河南南路の旧中匯大楼に移転した。現在の場所に再び移転したのは1996年。新しい建物は1993年から3年の工期を経て完成したもので、建築総面積39200平米、4階建ての荘厳な造りである。
内部はテーマ別に分かれた10個の常設陳列室と、寄贈を受けた3個の展覧会場がある。所蔵品は約100万点におよび、中でも歴史的に貴重な資料は12万点に上る。品目は青銅器、陶磁器、書、絵画、彫刻、家具、印鑑、貨幣、玉、少数民族工芸など多岐にわたり、所蔵品の年代も1万年以上前のものから20世紀のものまでと幅広く、その当時の名作逸品が揃っている。また3つの展覧会場では国内外の博物館からの特別展が不定期に行われている。
所蔵品の中でもとりわけ青銅器と陶磁器、書画のコレクションは世界的に有名だ。
上海博物館にある青銅器の多くは、江南のいくつかの収集家の家に清朝末期から伝わる名品。特に紀元前10世紀末、西周の頃の調理道具とも食器ともいわれる大克鼎は貴重な逸
品だ。また青銅器の製作過程も再現されており、数千年前にこのような高度な工芸技術が存在していたことは驚きである。
陶磁器は原始青磁のコレクションや、元から清時代にかけての景徳鎮コレクションは一見の価値があるだろう。
 (左)大克鼎(青銅器) (右)陶磁器
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3階まで延々と続く行列の様子
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書画については今回、常設展示に加えて北京の故宮博物院開館80周年を記念した特別展が開催されていた(展示は2006年2月4日まで)。訪れた日、博物館の1階から3階まで階段をつたって長蛇の列ができていたので一体何があるのだろうと不思議に思っていたが、その列はこの特別展につながっていたのだ。普段は故宮博物館でしか見られない書とあって1時間待ちもなんのその。しかも列には年配の人はもちろん、若い人もかなり多く見られ、さすがは書の国だと思わせられた。、
またこの書画コーナーのあちこちにペンと紙を持って作品を模写する老人の姿が見受けられたが、なんと豊かな余暇の過ごし方だろうと少し感動を覚えると同時に、このようにして中国の書の文化は脈々と受け継がれてきたのだろうかと思った。
 写真左は行列の原因となった書。故宮博物院のお宝
また、書画とともに発展してきたのが印鑑文化である。印鑑は印材の上に現した書道とも言え、構図の美しさと緻密な彫刻刀使いが美観の重要要素である。博物館が所蔵する数万点の印鑑の中から西周から清朝末期までの優れた作品約500点を展示している。
もともと古代中国では印鑑は王や役所の権威の象徴として使われていたが、時代とともに一般人の間にも広まっていき芸術として発展した。その時代や篆刻作家によって作風が異なり、細かく美しい仕事に思わず感嘆の声が漏れる。また印鑑はかつて木簡などの書簡の封として使われていたこともある。その「封泥」というものは木簡の上にたらした泥の上から判を押して封をするのだが、まるで欧米で手紙の封に使われるシーリングワックスの原型ではないかと思うほど似ている。
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印鑑
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現在中国では日常生活で日本のように印鑑を使う機会はほとんど無く、何でもサインで済んでしまう。印鑑はほとんど書画の世界だけのものになってしまった。だがこのような素晴らしい印鑑文化はぜひとも衰退させることなく後代に残していって欲しいものである。
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少数民族館
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また少数民族工芸館は個人的に好きなコーナーだ。中国は56の民族からなる多民族国家だが、工芸美術の発明と発展において各民族はそれぞれの特徴を鮮明にし、また一方では融和させながら中国の文化に複雑で華やかな彩を添えている。
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民族衣装の刺繍
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特に民族衣装はその民族文化の象徴ともいえるが、風俗習慣、宗教信仰、地理環境、気候条件、民族性格などの違いによって素材も様式も図案も千差万別、風格も全く異なっている。どの民族衣装も緻密な刺繍が施され、手織りの帯や小物がアクセントとなってとても美しい。街のアンティークショップでは衣装から剥がしたこの刺繍や織物が絵のように額に入って販売されているのを目にするが、日常の生活道具が一方では芸術作品となりうるというところにまた彼らの精神的な豊かさ、文化の豊かさがうかがえるのである。
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玉
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中国はまた、玉においても世界に名を轟かせている。玉器は中国の一種独特な芸術品であり、中国古代文明の象徴とも言える。玉器の用途は幅広く、政治、経済、思想、宗教信仰の面などにおいて他の芸術品が取って代わることができない程重要な役割を果たしてきた。
また玉は古代社会では上層貴族だけが所有するものだったが、時代の移り変わりとともに一般人の間にも浸透してきた。現在も玉をお守りとして好んで身に着ける中国人は多い。
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音声ガイド機
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以前も何度か訪れたことのある上海博物館だが、こうして改めてじっくり見てみると悠久な中国の歴史と多様な文化にすっかり魅了されてしまった。とにかく規模が大きく、特別展示もこまめに変わるので時々出かけてゆっくり見学するのもいいかもしれない。
見学の際には音声ガイドを利用するとより展示物への理解が深まるだろう。機械のレンタル料は日本語音声の場合40元。借りる際はパスポートか400元の保証金が必要。
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上海博物館
住所:上海市人民大道201号
TEL:(021)9696-8686(インフォメーションセンター)
開館日:年中無休 9:00〜17:00(入場は16:00まで)
入場料:20元(学生5元)
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