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上海の博物館めぐり


第4回 上海郵政博物館


郵政大楼の正門

郵政大楼の遠景

 2006年1月1日、上海にまた新しい博物館がOPENした。

 上海の近代史を支えてきた蘇州河のほとりにあるモダンな建物、上海郵政大楼の中にこの博物館がある。この建物自体が、中国の全国文物重点保護単位に指定されており、重要文化財として保存されている。その当時、極東一の建築物といわれたほどの規模を誇る。

 さらに、今回初めて開放された屋上庭園からは外灘から浦東にかけての景色を眺めることができ、この建築物を訪れるだけでも十分にその値打ちはある。博物館の入り口に掲げられている「上海郵政博物館」の文字を江沢民が書いているところからも、この博物館への意気込みが感じられる。


 かつて、中国には3つの大きな郵政大楼があった。一つは1915年に天津に建てられた天津車站郵政大楼、もう一つは1922年に北京に建てられた北京天安門広場郵政大楼、そして1924年に竣工したこの上海の上海郵政大楼である。北京と天津の大楼はすでに存在しておらず、上海郵政大楼が最後となった。

 上海開港後、租界地であった上海の郵便事情は、長らく各国が各国の切手や郵便制度を持ち込んでいた。真っ先に自国の郵便局を上海に持ち込んだのがイギリスで、1861年に「大英書信館」を設立している。

 清代1896年に光緒皇帝が大清郵政を批准したものの、まだ情勢は混沌としており、郵政業務に対して列強各国の思惑が錯綜する。1911年に清政府は郵伝部を設立し、郵政部門と税関部門を分離した。1917年になって政府は郵政大楼建設計画に取り組む。何とか外国の勢力が及ばないようにすることが目的であったが、その願いもむなしく、結局イギリス租界内の四川路橋のそばに郵政大楼を建設することになった。河にも鉄道駅にも近いというイギリス側の強い主張によるものだった。


 設計はイギリス人によるもの。当時のイギリス人郵政局郵務長S.H.Shieidsが建設の責任者となった。総投資額360万元で1922年に工事が始まり、丸2年の歳月をかけて1924年11月に竣工した。地下1階、地上4階で、最も高い塔の部分で50メートルほどの高さがある。

時計台を近くから見る

 郵政大楼は現在、往年の面影を残して復元された。入り口は、立派な時計台の下側にある。ちょうど四川路と北蘇州路の角に位置する。

 入り口から入って螺旋状にカーブした階段を上って2階のホールに入ると、大理石のカウンターが美しく復元されている。その当時このホールは「極東地区最大のホール」といわれ、ずらりとカウンターが並んでいたようだ。文革のころに一時間仕切りがされたが、今でも当時の面影を偲ぶことができる。


 
(左)エントランスの彫刻も修復されました (右)大理石でできた
カウンターは復元され、今でも郵便業務が行われています


 博物館の入り口は、このカウンター群の隣にある。中国で初めての郵便をテーマにした博物館だけに、まずはじめは中華人民共和国の初代郵電部部長である朱学範の展示から始まる。朱学範は上海楓(現在の金山区)出身の上海人だけに展示に力が入れられているのが分かる。

 その後に中国の歴史などが古代から順番に分かりやすく展示されている。もちろん、切手収集ファンが多い上海だけに、貴重な切手の展示も欠かせない。清代の切手「大竜郵票」「小竜郵票」などもあった。

 中でも印象に残ったのが、2003年12月に浦東に建設された「浦東郵件処理センター」に関しての展示だ。総建築面積58000平方メートルの巨大な建物には、上海に集まってくる郵便の仕分けなどが自動化されて行われている。自動仕分けシステムのシュミレーションも実演されていた。


郵政大楼の中庭部分。
飛行機が飛んでいます

 すべての展示を見たら、中庭を見学しよう。もともと中庭には天井がなかったが、現在は天井が設置されて立派に修復されている。中庭の面積は1347平米あり、その昔、この中庭にトラックに満載された郵便荷物が送り届けられ、仕分け作業が行われた。今でも、郵便物をつめた袋を落とすための使い込まれたスロープが残されている。

 中庭には、1909年に上海郵政総局が毎月銀200元で借りた運送用の馬車や,1917年に上海郵務管理局が始めて購入したフランス製の郵政トラックのレプリカのほか、天井には1929年に上海と南京を結んだ上海で初めての定期航空郵便に使われた飛行機のレプリカがぶら下がっている。

 
(左)中庭には馬車やトラック、列車のレプリカが展示されています
(右)このような荷物用のスロープがたくさん見られます


時計台の前にある彫刻

 やはり見逃してはならないのは、5階屋上にある庭園だ。郵政大楼の特徴とも言えるイタリア・バロック風の時計台のすぐそばまで歩いていくことができる。
 時計台に設置された時計の直径は3メートルほどある。時計台両サイドにはランプが灯され、その当時夜になるとライトアップされたという。さらに、塔の2面には交通・通信をシンボルとした象が掲げられ、現在も当時のまま残っている。

 この屋上庭園から眺める上海の風景はまた格別だ。蘇州河の流れに沿って外白渡橋や上海大厦、そしてバンドの建築群、浦東の東方明珠テレビ塔など近代的なビル群を眺めることができる。その昔、蘇州河の水運を利用するためにこの場所に郵政大楼が建てられたことが納得できる。

 
(左)屋上から眺めた風景。外白渡橋やテレビ塔が見えます
(右)屋上から四川路を望む


博物館出口にある井戸。水が今
でもコンコンと湧き出ています

 そして、最後に1階の出口までくると、なにやら水を豊かに湛えた井戸のようなものを見つけることができる。実は、この郵政大楼の地下は、巨大な空間になっていて、面積にして5371平方メートルにも及ぶという。

 さらに、この地下空間は壁で仕切られていて、416に間仕切りされている。お互いの壁には穴があいていて、水が行き来できるようになっているそうだ。蘇州河の水位の変化とともに、この地下の水の水位も変化するとのことだが、果たしてどういう理由でこの地下空間が作られたのか、はっきり分かっていないという。一説によると、地盤沈下によるバランスをとるためにとも言われているが、最後の最後で興味深い物を見てしまった。(2006年1月取材・山之内 淳  中医ドットコム



上海郵政博物館

住所:中国上海市北蘇州路250号【地図
TEL:(021)6393-6666(代表)
開館日:9:00〜17:00(入館は16:00まで)
なお、2006年1月10日までは無料
入場料:8元



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